戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

準備中!

今週末の土曜日から始まる保科五無斎展の準備が、急ピッチで進められています。
ようやく借用資料がそろったので、その中身を確かめながらの展示作業です。
彼の作った地質標本をはじめ、フィールドノート(野帳)、直筆の狂歌の短冊、さらには彼が着ていたはんてんもあります。


今まで限られた資料や本でしかその姿を想像するしかなかったのですが、実際に彼の使っていたノートに触れ、その文字を見ると、どんどん彼が近くなってきた気がします。

五無斎は「日本百奇人」の第一位にも選ばれたことがある、大胆で奔放な人だったことが知られています。
しかし今回ノートに書きこんだ山の地質図を見ると、かなり繊細な面もあったようです。

また、狂歌で面白いのが、生涯独身だった彼が、奥さんを欲しいと詠んだ「よいかかをほしな百首」と呼ばれるものです。
―悲しいことがあると優しい奥さんが欲しくなる−  とか、
―おすもうさんを見ると体格のいい奥さんが欲しくなる− 
なんて書かれたものまであって、ユニークさと寂しさとが入り混じった、とても人間臭い面が浮かんで来て、ちょっと切なくもなります。

彼の強烈な個性と合わせて地質学者としての業績をしますので、どうぞお楽しみに!