戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

衝撃の告白…

現在、企画展「長野のゾウ〜シンシュウゾウ発掘30周年記念〜」開催中です。

15日までですので、この際にご覧ください。

長野県で発見された、4種類のゾウが全部見ることができます。

シンシュウゾウ(ミエゾウ)、アケボノゾウ、古型マンモス、そしてナウマンゾウ

なかでも、戸隠川下産で発見されたシンシュウゾウ下顎化石(長野県天然記念物)

の実物は圧倒的な存在感です。




                 

その展示にインスパイアされたのか、

一人のご老人が来館し、私に昔話を始めました。

口数は少ないものの、しっかりした口調で彼は語ります。




老人「昭和49(1974)年、私は川下の崖でこの化石を見つけ掘り出そうとしました…」

私 「えっ、っ っー!? (;゚Д゚)!」

老人「その時の破片を、今まで大切に保管していました…」

私 「えっ、えっー!? Σ(゚д゚lll)」

老人「今日は、それをお持ちしました…」

私 「えっ、えっ、えっー?! ウソー」

老人「40年もたっているので、もう時効でしょう… 

   私が持っているよりはここにあった方が化石も喜びます…」

私 「…(言葉になりません)…  (゜д゜)」




なぜなら、シンシュウゾウの下顎化石は、1950年ごろ地元のTさんが発見し、

1983年12月に戸隠村教育委員会が発掘した、と私たちは聞いていたのです。


その9年前、彼は化石を発見し、自分で掘り出そうとしたというのです。

初めて知るその真実に、びっくり…


彼が大切にしてきたモノは、厚いエナメル質が特徴のゾウの臼歯片が一つ

骨の破片が二つです。

ラベルには日付もちゃんと記入されていました。

よく話を伺ってみると、細かいところまで鮮明に覚えていました。






私 「うーん (。-_-。)」

老人「これまで、言い出せませんでした…」

私 「そうでしたか… ありがとうございます」



また一つのドラマが、この化石にふえました。

私の人生を変えた化石でもあるのですから、まだまだ隠されたドラマがあるのでしょう。

化石を片付ける時に、この破片をくっつくかどうか確認したいと思います。



ぴたっとくっつく場面を想像すると、夜も眠れません!

40年ぶりの感動の場面、どなたか一緒に立ち会ってください