戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

昨日…

昨日の佐久方面の標本借用の時間の合間、

野望を一つ達成しました。

国指定 天然記念物「天狗の麦飯産地」の訪問です。

小諸市内にあるとのことで、行ってきました。


もっと浅間山に近い部分にあるのか、と思いきや、

思いっきり市街地の中で、

すぐ横を鉄道(しなの鉄道八ヶ岳高原線)の線路が走っています。


「ここ?で、よいのですかっ?」とみると、

一帯はきれいに草刈がしてありました。



大正時代に天然記念物に指定された際の石柱と

「天狗の麦飯」の写真つきの解説板が設置してあります。




ここは「味噌塚」と呼ばれていました。

「天狗の麦飯」も「謙信の味噌」とも呼ばれていたとの記録もあるので、

ここで産出することが、この名につながっているのでは、と思いました。


この「味噌塚」では、明治時代後半、保科五無斎も「泥炭」を採取しており、

「長野県地学標本」の中に残っています。

五無斎は、標本を採集した場所に、保科家の家紋「九曜星」を刻みました。

この近くにも刻んだはず、なのですが、

「兵どもの夢のあと…」といった風情です。


梅雨の晴れ間、五無斎と同じ場所に立てた感慨に、一瞬ひたってきました。