戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

幅を広げたい

今日は観察会で、飯綱高原の一の鳥居苑地を歩きました。

お子さん連れのご家族での参加もあって、

いつもよりにぎやかな観察会でした。

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今が盛りのジンヨウイチヤクソウ。

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野生でシラタマノキやイブキジャコウソウもはえています。

標高1100mちょっとなのですが、

飯綱高原の採草地の忘れ形見なのでしょう、

草原性の植物に交じって、亜高山~高山の植物も見られたりと、

観察にはお得な楽しい場所で、おすすめです。

 

さて、宿題になっていた植物です。

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1つの穂の花数が20前後と多いので、コミネカエデでいいようです。

似ているナンゴクミネカエデは10前後と、少ないそうです。

 

赤いツツジは野生でしたらヤマツツジとしたいのですが、

近くに以前、茶屋があったので、

植栽種の可能性もあると難しくなってきます。

花の時期が遅いので、サツキの品種である可能性も。

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(左が博物館のサツキ、右が苑地のもの

苑地のものは葉の幅も広いので、ヤマツツジの範囲に入るのですが、

サツキの園芸品種には葉の幅が広めのものもあるようです。

もうちょっと、検討させてくださいm(__)m

 

こんな苑地には、最近では外来植物も入り込んでいます。

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こちらはウズラバタンポポ。もともと園芸植物です。

花はまだ咲いていませんが、葉のウズラのまだら模様が特徴です。

参加者のかたによると、

庭に植えておくと、後で困るほど増えてしまうそうです。

苑の管理人さんにすぐ通報。早めに見つかってよかったです^^

 

野生植物の知識だけでは、

わからないことがたくさんあることを実感しました。

野外での観察を充実するためにも、園芸種や栽培種の知識も重要!

それを思い知らされる、とどめの一撃が、

観察会の後に、ご近所さんから届いたお花の贈り物。

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園芸のバイカウツギ。花が4~5㎝はあります。

ちょうど先週、近くの山でとった野生種を標本にしていたので

並べてみました(右側の小さいもの)。 その差は歴然! 

お庭でこの立派な花を見ていたら、

山のものが寂しく感じるのは当然だと実感。

 

もっと幅広く勉強していかないと、心を新たにする日になりました。