戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

野外を歩けば

今日は植物観察会で、飯綱高原を歩きました。

雨率の高いこの行事ですが、今年は初回の4月の吹雪以外は

悪くないお天気です。

初回の強烈な天気で、1シーズン分の厄が落ちているといいのですが^^;

 

高原はすでに秋の気配で、オミナエシやススキ、ツルリンドウの花も見られました。

大型セリ科植物、ヒュウガセンキュウも白い花を咲かせていました。

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これまで県内でオオバセンキュウと言われていたものの多くが

最近、この種だったことが研究で明らかになりました。

南国、日向の名前がついた植物が、信州の高原で普通種だなんて、

不思議な気分です。

なお、宿題だったセリ科植物は、オオカサモチでOKでした。

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Y沢くん、いつもありがとう!

 

皆さんと歩くと、下見の時以上の発見が次々にあって本当に楽しいです。

植物はもちろんのことながら、今回は虫がヒット!

 

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ノイバラの茎についた虫こぶです。

ノイバラの組織がこぶ状に膨らんでいるので、

とげつきのボールになっていました。初めて目撃しました!

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まるで実みたいですが、虫こぶです。

中のうごめく幼虫も確認しました><

「バラハタマフシ 薔薇葉玉附子」という名前で、附子=こぶ のことだそうです。

バラハタマバチというハチによる虫こぶでした。

 

もう1種は、こちらの小さなチョウ

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ゴイシシジミ

アブラムシ(白い点々)がついているササの葉にとまっていたので、

もしかしたら、と話をしていたのですが、

調べてみると、確かにアブラムシの甘露を餌にするチョウでした!

しかも、その幼虫はアブラムシを食べるという完全肉食で、

そうした生態をもつのは、日本では、このチョウだけだとか。

さらに、その餌とするアブラムシの種類まで、

ササやタケにつく仲間(ササコナフキツノアブラムシなど)と

かなり限定的だそうです。

 

植物がいて虫もいて動物もいて、たくさんの生き物からなる自然の奥深さを

ちょっと垣間見ることができたような、そんな観察会でした。