戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

あれから2年

今日も市内の学校さんが、地層見学に来られました。

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本物に触れて、楽しそうに過ごす子どもたち^^

 

見学の中では、

砂や泥を運ぶ川の流れが、何10万年もかけて海底に地層をつくり、

さらに陸地になった後も、

川が大地を削っていくことを紹介しています。

 

 水の流れのパワーは大きい・・・

 

2年前、台風による大雨によって千曲川の堤防が決壊し、

そのすさまじさを目の当たりにしました。

 

当時は被害が生々しく、

見学の子どもたちに語りかけるのも難しかったですが、

2年たって、改めて川の流れの働きについて、

そして自然とのつきあいかたについて、考えてもらえたらな、

と思いながら毎回お話をさせてもらっています。

 

それから、自分なりに川の自然と付き合おうと、

氾濫後の千曲川沿いで植物調査を始めました。

 

堤防が決壊した場所から少し下流の河川敷ですが、

去年の夏~秋は、たまった砂や泥から芽生えてきた

オオブタクサ(外来種)やアレチウリ(外来種)、オオイヌタデ(在来種)で

早速ジャングルでした><

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歩行困難・・・ 一人では遭難しかねない、といった状態です。

植物のパワー、おそるべしです^^;

 

そして今年は

カナムグラ(在)、イシミカワ(在)のつる(どちらも棘が痛い!)が

オオブタクサ(外)に絡みついて、

去年とメンバー変更がありつつも、夏本番前にはやはりジャングル・・・

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しかし、お盆の大雨により、3m以上の水がつき、

 

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オオブタクサはほとんど倒れて枯れてしまいました。

一年草ですぐに大きく成長しますが、強度はさほどないようです。

 

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新たに砂がたまった場所には、

ひと月たてば、また別の草が生えてきました。

 

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短い期間に大急ぎで成長して種をつけ、枯れてしまう

スベリヒユ(在、有史以前の帰化種?)

畑雑草として嫌われています。

 

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こちらはクルマバザクロソウ(外)

 

撹乱後の砂がたまった場所で、上に遮るものがないので、

茎を横にどんどん広げているのが印象的でした。

 

堤防がない時代、河川敷はしょっちゅう氾濫していたはずです。

そんな厳しい日本の自然に適応した植物たちが

たくましく生きる場だったのでしょう。

人が生活の場所として改変し、

そんな撹乱に強い植物が、

畑や田んぼの雑草となっていったと想像します。

 

現状の河川敷では、日本で鍛えられた百戦錬磨の植物たちの中に

さらに、海外から入ってきた強面の外来種も加わって、

混戦模様となっています^^;

 

これからもしばらく、川がつくる変化の激しい自然の様子を

見ていきたいなと思っています。