戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

ちょっとお隣へ

今日は一日ぐずつく、梅雨の走りのようなお天気でした。

そのせいもあってか、お客さまが絶えませんでした。

ありがたいことですm(__)m

楽しんでいただけたでしょうか?

 

話しは変わって先日の休みの日に、

秘書さんとは別に、ちょっとお隣の町へ足を運びました。

 

途中、田植えの準備中の田んぼに、

黒姫山妙高山の影がうつってきれいでした。

人の営みと自然との調和が景色にあらわれているようで、

ほっと和ませてくれます。

農家さん、ご苦労様です。

 

目的地は斑尾高原の湿原です。

リュウキンカが満開で、散策を楽しめました。

 

詳しい方から解説をきいたのですが、

なんとこの湿原、標高870mに位置するのですが、

田んぼだった時があるそうです。

しかも歴史は古く、江戸時代の半ば、享保年間には

一帯に75軒の農家がすんでいたとか。

大正時代に最後の住人が去ると、

また自然の状態に戻り、

ミツガシワやカキツバタなど、

季節ごとに花々が美しい現在の湿原になったそうです。

 

その名残が稲刈り後に稲を干す、はざかけに使った木

人が植えたハンノキの列が湿原を縦断しています。

 

こんな山の中にも人が暮らしたあとが、

景色の中にくっきり残っていました。

歴史の証人に、感心するばかりです。

それにしても、ここでどんな生活をしていただろう、

冬は大変だろうな、とかいろいろと想像されました。

 

山を越えて飯山市

ここ何年か個人的においかけている樹木、チャンチンの情報をいただき、

案内していただきました。

中国原産の木で、江戸時代には日本に渡来していました。

善光寺平から飯山にかけては、この木を植えているところが

点々とみられます。

しかし昔のように材として使うわけでもないので、

その存在もどんどん忘れられている木です。

 

芽吹きのときの葉が赤味が強いのが特徴なので、

春に探すと見つけやすいです。

夕方の光に照らされたチャンチンの林が輝いて

存在感を放っていました。

 

さりげない風景の中に、人の営みの歴史が眠っている・・・

そんなことを感じさせてくれる一日でした。