戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

電話から始まる、も・の・が・た・り

本日、午前10時、けたたましく電話がなりました…

 

「ドクターヘリが、そちらに行きますので、よろしく…」

 

「えっ、?」慌てる職員…

 

校庭に降りるのですが、草刈りをしていません…

 

ストレッチャーがはいれないかも…

 

不安にかられた職員(日赤社員でもあります)

 

慌てて草を刈り始めましたが、救急隊の方に止められました。

 

ドクターヘリは、すぐやってくるから、危ないとのこと…

 

 

「コード・〇〇ー」を思いだします。

 

気分は、ミスチル…「HA〇〇BI」がなりひびきます…

 

最近、再放送を見たせいでしょうか?

 

 

患者さんを緊急搬送… ご無事であればよいのですが…

 

 

閑話休題

 

そして、昨日の電話からも新たな物語が始まります…

 

「友人の碁石が割れたので、相談を受けた!」

 

「そんなことがあるのか、石の専門家に会ってお聞きしたい…」とのこと…

 

「えっ? 碁石が割れる?」

 

「黒の碁石だけがわれている…」

 

🐕「そんなことは、前代未聞じゃ!」

秘書も、見たこともきいたこともがありません…

 

「明日持っていくから見てもらえる?」

 

「ええっ、まあ、見るくらいなら」

 

話によれば、仏壇の奥に入れてあり、40年ぐらいやっていないとのこと、

 

黒の碁石が自然に割れるものなのか?

 

ドクターヘリの到着と同時に、3名がその碁石をもって来館…

 

碁石を見せていただくと、なんと、粘板岩ではありません…

 

 

 

われた断面をみると、よくわかります…

 

那智黒」という粘板岩が使われている場合が多いのですが、

 

🐕「これは、黒曜石じゃ… 珍しい…」

 

 

黒曜石の石器をつくるときにみることができる、

フィッシャーやリングも確認できます…

 

「めずらしい素材で作った、碁石ですね…」

 

持ち込んだ方々にも、納得していただけるよう…

黒曜石の標本や碁石をつくる際の過程のものをみていただき、

ご理解をいただきました…

 

 

こちらは、粘板岩をドリルでくりぬき、碁石にする過程の資料です

 

🐕「めでたし、めでたし、一件落着じゃ…」

 

よかった。よかった…

 

誰かが、碁石の容器ごとふって、いたずらした可能性もあります…

その衝撃で割れたのでは、と思いました…

 

容器「碁笥(ごけ・ごす)というとのこと」の中には破片が…

 

私も、昔、仏壇の下にあった爺さんの碁石の容器を振って、

ジャラジャラという音を楽しんでいた記憶がよみがえりました…

 

しかし、これで終わりではありませんでした…

 

念のため、碁石の歴史を調べてみると、

大正時代にガラス製(硬質ガラスではない!)の碁石がつくられた、

とありました… もろく割れやすい、とのこと…

 

ネットで検索すると、今でもガラス製の碁石が販売されていました…

 

🐕「ええええええ ガラス製だったのか…」

 

🐕「やはり、碁石は石でできているという先入観がいかんのう…」

🐕「それで判断が甘くなったのじゃ…」

 

 

相談相手は。黒曜石製の碁石だと信じられて帰られてしまいました。

 

なかなか、うまくいかない話でした

 

一緒に来た友人は、このブログを読んでいたので、

ここに相談にきたといっていました…

 

どうか、この事実を本人にお伝えください…

 

古いガラスと黒曜石の区別はとても難しいです…

 

🐕「ええぃ、言い訳はいらん、未熟者よ… 謹んでお詫びをするのじゃ…」

 

 

「ははっ~ 申し訳ありませんでした…不徳のいたすところ…」

 

伏して、お詫び申し上げます…

 

今日もおあとがよろしいようで…