戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

さまざまな個人、団体さまからご協力をいただきましたm(__)m

今日はお彼岸の祝日です。

学校も春休みに入りましたし、お天気もよかったので

ご家族連れでにぎわいました。

ウーパールーパーさんにもおめでたいことがあったそうですが、

またそれは改めて担当職員がご報告するでしょう^^

 

さてさて、先週の土曜日から企画展が始まっています。

「戸隠から世界へ

 ~トガクシソウ発見150年 シナノホタテ命名100年~」

 

トガクシソウの発見のほうは、明治8年(1975)の

発見時の信州山岳調査のようすを紹介しています。

じつはこの調査は政府が行ったものなので、

当時の記録がいくつも知られていて、そこから引用しています。

 

今回の目玉は、最近になって存在が明らかになった、

調査当時の植物のスケッチです。

しかもそれは、日本を代表する植物学者 牧野富太郎が所有していました。

ご遺族から今回その画像データを特別にご提供いただき、

飯綱~戸隠分、11点をパネルにして展示をさせてもらっています。

ご提供いただいたときのお約束で、それらの撮影はNG、

ネットにもあげることができませんので、

ご理解いただければと思います。

 

(壁に調査の旅の行程をイラストで描きました。

 こちらは撮影できます。展示をみた記念ぐらいにはなるかな・・・^^;)

 

そういうわけで、展示がパネル中心になってしまうのが

ちょっと寂しいかと思い、

今回の企画展の主役の一人、調査隊隊長の田中芳男が編纂にかかわった、

動物の教育掛図(明治7年)と、

全国の産物のつくりかたをまとめた図(明治5~9年)を

県内の施設からお借りしてきました。

 

掛図は様々な動物(4月下旬まではほ乳類)が一覧になっています。

文部省が作成し、全国の学校へ配ったものです。

 

先週この資料をお借りするために松本の国宝 旧開智学校へ行ってきました。

 

明治の初期に建てられた擬洋風建築です。

 

天使や龍のかざりが、素敵です^^

 

耐震工事を終えて、昨年11月に再公開となりました。

中も見学できる展示施設となっています。

ちょっと時間があったので、のぞいてきました。

 

こんなモダンな建物で子どもたちが勉強していたなんて、

うらやましくも思います。

 

2階のステンドグラス窓の部屋は

集会などに使われていたそうです。

 

「旧校舎を利用した博物館」という意味では

こちらも同じ?

旧柵小学校校舎も、あと100年頑張れば、

国宝に指定されるかもしれません・・・

 

さて、話を企画展に戻すと、

戸隠で発見されたトガクシソウが、海をわたり

日本人初の学名命名という栄誉を得ること、

 

(今食用になっているエゾホタテガイの標本は

  幕末にペリー提督がアメリカへ持ち帰り、学名がつけられています!)

 

しかし、その代償といいますか、

命名者の伊藤篤太郎は大学教授の怒りをかい、

教室を破門されてしまいます。

博物館ではおなじみのその経緯は、

今回14分の番組として映像でご覧いただけます。

 

その名も「戸隠草物語」!

制作されたのは、大阪市立大や京都大学で教鞭をとられていたことがある、

長野県出身で、戸隠とも縁のある元大学教授です。

おかげさまで、複雑な人間関係や

なぜトガクシショウマという名前で普及されていったのかが、

わかりやすくまとめらています。

 

ラベルなどを追加しながら、ようやく見られる展示になってきました。

8月24日(日)までのロングランです。

ぜひ一度、足をお運びください。

150年前に、戸隠と世界が博物学でつながっていた!

というちょっとした驚きがあると思います^^

 

ただし明日は、祝日の翌日で、残念ながら休館日ですので、

ご注意くださいm(__)m