戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

400万年前の肉まんの化石

今日は、館内見学、化石採集、クリーニングをして標本づくりをやりました。天気がよく、さわやかな気分で野外にでることができました。
参加者の一人は、立派なウニの化石(ムカシブンブク)をみつけました。化石のでてくる地層(露頭)をたたいていたら、自分からぽろりっとでてきたのだとか。この化石は、上からみると「肉まん」そっくりですから、私たちはこれに「肉まんの化石」とニックネームをつけて楽しんでいます。今回みつかったムカシブンブクを写真にのせます。

ホタテ、シガラミサルボウ、キリガイダマシやマテガイといった貝類や、腕足類もみつかりました。葉脈のみえる葉化石をみつけた人もいらっしゃいました。今回みつかった化石たちは、示相(しそう)化石といって、昔の海の環境を推定する上で意義深いものです。それは生き物の多くは、海の環境に応じてうまく住みわけているからです。しかし、そこにある化石がその場所で死んだものなのか(現地性)、死後に違う環境に運ばれたもの(異地性)なのかという点には要注意です。この見極めには、化石をとる前の丹念な地層観察が大切になってきます。化石がでてくる事実だけでなく、それがここにある理由なども考えてくだされば今回の勉強会は大成功です。
今回、初めて一人で館内見学、化石採集、クリーニングの標本づくりの案内役をつとめさせていただきました。帰り際の「楽しかったです」という温かい言葉や、終わりに拍手までいただき、嬉しかったです。このような経験を生かし、これからも日々学んでいきたいです。