戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

赤と黒

と言ってもフランス小説でもなければ、若手お笑い芸人でもありません。
季節がら、急ピッチで進めているタネ集めから一ネタ。

森で見られる木や草の実。その中には鳥に食べられて、フンと一緒にタネを遠くに運んでもらおうと、目立つ色合いの実をつけるものがあります。
特に、赤と黒コントラストが鳥には強い刺激になるらしいです。専門用語では「二色効果」と呼ばれています。

例えば、ヨウシュヤマゴボウという実をご存知でしょうか? 

名前は知らなくても、どぎつい黒紫の実がブドウのようにふさになっているのを見たことがある方は多いのでは。
しかも茎は染めたような蛍光赤紫。
この色はヒトにとっても衝撃的ですが、鳥に対する「食べて!」という必死のアピールなんです。


こちらのマムシグサという森にはえる草の実は、赤い実がついている軸のところが紫色をしています。季節が進むと軸はもっと黒くなります。
ミズキという木も実は黒ですが、実がつく枝は赤くなります。


サンショウの実も、赤い実から黒いタネがのぞいていますね。

他にも、ヤマザクラやウワミズザクラ、ヤブデマリなどでは、未熟な赤い実と完熟した黒い実が枝の中で混在してアピールしたりします。

もしかしてこれも「赤と黒」? という実があったら、ぜひ教えてください。