戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

重労働

近くの地域の神社でご神木のスギの大木が切られました。
一昨年の震災で裏山が崩れ、スギも傾いてしまったので、
復旧のため、なくなく切ることになったのです。
詳しくは今年6月26日のブログをご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/Naturalhistory/20160626


地域をずっと見守り続けたスギを、ただ切り倒してしまうのは惜しい・・・


じつは当館のもと博物館実習生で、
現在、奈良文化財研究所という国立の施設で
木の年輪年代学を専門にされているかたがいらっしゃいます。
太い木の年輪の幅のパターンをたくさん調べておくと、
木製の建築物や像などの文化財に使われている木が
いつの時代のものかを特定する手掛かりに使うことができるそうです。

このスギも、長野地域を語る年輪のサンプルとして、
提供されることになりました。
壮大な話です!


(地面から数m上で切られたものですが、240年ほどの年輪を数えました!)


しかし、いい状態で材を維持するには、
保存に気を使わなければなりません。
急に乾燥するとひび割れの原因になります。
前にボランティアさんに教えていただいた、
「水中乾燥」を試すことになりました。



材を水に1年ぐらいつけておくと、樹液成分が抜けて、
そのあと水から出しておくと、木質繊維が壊れずにうまく水が抜けて、
材のひび割れや収縮が起こりにくくなるという、
昔からある伝統的な製材加工法の1つだそうです。



しかし、直径1.3mほどの輪切りの材は、
運ぶに重く、沈めるには浮力が大きく、
職員が体をはっての作業となりました。


(決して水遊びをしているわけではありません!^^;)


いくつものブロックでおさえて、なんとか沈めることができました。



この後、企画展の準備でもケースを動かし、たくさんの石ころを運び、並べ・・・と
重労働続きの1日でした。