戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

不発…

先日 某大学の若者から化石発見の連絡がありました。

長野市の隣村に分布するジュラ紀の地層から、

肋骨のような化石を発見した、というのです。

職員一同「えっー! それは本当ですか?」と色めきました。

現在、夏の恐竜展の準備をしている最中ですので、

天からの恵みではないか、と思いました。

画像を送ってもらったところ、骨のようにも見えます。



「うーん、これでは何ともいえないなぁ?」

「やはり実物をみないとわからないな」との結論。

骨の化石だった場合、日本最古の爬虫類化石です。

すぐ近くで、肉食恐竜の足跡化石が見つかっているのです。



「誰かに見つかってしまうのではないか」

「雨が降って流されてしまうのではないか」と不安な日々がつづきました。



昨日の休館日、個人的に実物を確認してきました。


「もし、本物の骨だったら、どうしよう!日本最古だもんな!」

「やっぱり、記者会見とかしなきゃいけないよな…」

どんどん妄想が広がります。



現地につくと、こんな広い地域でみつかるのか、という不安もありましたが、

GPSはすごい!、

きちんと場所がわかります。

沢に降りる瞬間、ドキドキ!わくわく!の世界です。

そして、お目当ての化石も…



なぁんだ 植物の化石です。

うろこ状の突起も見え、シダ植物の茎化石と判断しました。



しかし、よくこんなところで化石をみつけたものです。

パワーを実感しました。

こうした若者がいるので、長野県内から本物の恐竜化石が必ず見つかるぞ!

と明るい未来を感じ、険しい沢を下りました。

ちょっと残念ではありましたが、すがすがしい初夏の一日となりました。