戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

里山散策 城跡とマルクビツチハンミョウ

今日は、第1回目の自然観察教室…

ご近所を歩こう!ということで、福平城へ出かけます。

午後からは天気が悪くなる!という予報なので、

午前中に見て回ろう!ということにしました。

 

戦国時代に、この柵地区を支配した拠点の城を目指します。

武田と上杉の川中島合戦のころ、につくられたとされています。

 

主郭の周囲には2重の空堀があり、

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土塁がくっきりと残り、水を貯えた池の跡らしき跡も残っています。

この時期は、藪になっておらず、よく遺構がわかります。(^O^)/

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これを築いた武将は、なかなかの知恵者です。

断層でできた段差を、防御壁に利用しています。

地質をきちんと読む方だった、と推定されますね。

 

 

しかし、この城跡は、現在、他の動物の拠点になっていました(+_+)

大量のシカの糞が落ちまくり、です。

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奈良公園に負けていません。

 

 

その後、町の本陣跡(黒門)、円光寺居館跡、等を回りました。

最後に、春だけに見かける毒虫「ツチハンミョウ」を発見!

あれ?でもいつものとちょっと違う感じがする!

一緒にいった高校生(職場体験で当館に来た中学生)が気が付きました… 

色も黒いし…かたちもちょっと違います???

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館にもどって、図鑑をしらべると

マルクビツチハンミョウ(♀)と同定できました。

 

ふくらんだ腹に卵が数千個も詰まっていて、花に卵を産みつけます。

卵からかえった幼虫は、花に来るハチやアブに取り付き、

生息範囲を広げていく、という戦略をとっているそうです。

 

鳥に食べられないように、毒を身につけた甲虫類の一種です。
この虫から毒を抽出し、忍者が暗殺に用いたという恐ろしい虫でもあります。

 

ムシもすごいですが、ヒトもすごいね!

 

こんなアバンギャルドな字を刻んだ庚申塔もあります。

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民家の新聞受けですが、とってもかわいい!(^_-)-☆

よく見ると、ガス湯沸かし器の再利用品です。

 

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いろいろ見ていくと、ヒトのアイデア、実行力、智恵ってすごいなぁと思います。

 

歩いて、よく見ないともったいないですね。