戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

アキニレ

今日は梅雨のあいまをぬって、隣町の芋井に樹木の鑑定に出かけました。りんご畑の中にぽつんとたつ「天然記念物あきにれ」の石碑。そこから少し離れてはえる1本の樹木はまさしく県内ではめずらしいアキニレでした。もともとは石碑の隣に古木があり、現在の木はその子どもだそうです。しかし地元の人もはっきりした由来がわからなくなってしまっているとか。昔からはえてはいたのですが、何の種類かもわからないので地元では「無名木(ななしぎ)」と呼び、さらにその周辺の地域を「ななしげ」と呼んでいたそうです。

館に戻ってからいろいろ調べてみると、確かに明治時代の芋井の文献に「無名木」が絵入りで載っていました。江戸時代には四方を柵で囲って大切にしていたそうです。思いがけず由緒ある木に出会えました。