戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

清水の変わり者

企画展の準備にホトケドジョウを捕りに行ったとき
スナヤツメを1匹捕まえました。
(ヤツメの名は1つの眼と7つの鰓孔で、
8つの眼があるように見えたことに由来します)


生体展示をしようと飼っていたのですが、
今日亡くなりました。

(この子は標本として展示します)


スナヤツメは非寄生性のヤツメウナギで一生を川で過ごします。
(遺伝的な調査で2種類いることがわかっていますが、
外見上区別できません。こういうものを隠ぺい種といいます。)


この子は眼があったので大人のスナヤツメです。
眼がないものはアンモシーテス幼生といいます。
アンモシーテス幼生は数年かけて砂の中の有機物を食べ成長します。
そして十分に成長すると変身(変態)します。
外見上は眼が開く程度の違いですが、体内の変化は劇的です。
なんといっても消化管が糸状に退化します。
繁殖するために食べられない状態になるのです。
変態後はそのまま越冬して、翌年の5〜6月に産卵し、死亡します。



(この子は繁殖に参加しなかったので半月ほど長く生きたことになります。)