戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

冬支度

(今日は文章が長めです)


すっかり寒くなってきました。
来週には寒気が入ってくるとのこと。
雪が平地でも降りそうです。


飼育している生き物たちも冬支度をはじめたものもいます。
こちらです。

茶臼山のため池で捕まえてきたものです。
なにかわかりますか?
生き物ですよ。




(拡大したもの)
小さなツブツブは「芽球」です。

わかった方はかなりの通です。



これは淡水カイメンの仲間です。
種類は調べていないのでわかりませんが、
日本にはこの仲間が25種類ほどいるそうです。
調べ方は骨片をみるとか。。。



淡水カイメンは体がやわらかいため、
ため池のような水の流れの少ないところに多く
エビなどの小さな生き物の隠れ家になるそうです。



雌雄異体の生き物ですが、
有性生殖(配偶子が必要)と
無性生殖(配偶子はいらない)の
両方で増えるそうです。


ミジンコとは逆で、環境がいいときは有性生殖
環境が悪くなると無性生殖で繁殖します。



多くの淡水カイメンが夏から秋にかけて
体の中に休眠性の芽球をつくります。
親は芽球をつくり、環境が悪くなってくると
徐々に体がしぼみ、死にます。
すると芽球が表面に現れます。
この芽球は、いったん低温にさらされないと
発芽しない特徴をもっています。



春にはこの芽球が発芽し、
水槽の中にはカイメンが現れることを祈り、
このままにしておきたいと思います。



ちなみにカイメンは、
フィルターフィーダー(濾過食)なので、
水がきれいになるとか。



他の生き物に悪さもせず、
隠れ家は提供し、
水をきれいにするとは
飼育している側には、
ありがたい生き物ですね。