戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

柱状節理(ちゅうじょうせつり)

先日まで開催していた企画展の資料をお返しするため、お隣の芋井地区へでかけました。
道からは面白い形の山、狢郷路山(むじなごうろやま)がよく見えます。

(写真は以前撮られたものです)
石でできた柱がいくつも束になって、にょきっと伸びています。
人をばかす「むじな」がすんでいた、という言い伝えも。
いかにもいわくありげな山容です。

地質的なおはなしをすると^^ 「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれます。
今から30万年ほど前に、マグマが大地のすき間に入り込み、横に流れました。
冷えて固まるときに、上から柱のようにピキピキッと割れてできたそうです。
硬い部分だけがその後の浸食に耐え、今の山容になったとか・・・


さらにこのすぐ近くには「黒岩」と呼ばれる黒い絶壁もあります。

木の葉が落ちた今の時期はその全容がよく見えます。
四角形や五角形のひび模様が全体を覆っているのですが、実はこの岩も、同じく「柱状節理」だということです。

ただし、その向きは90度傾いていて、柱の束を寝かした状態。
そのため、柱の断面の四角い模様が見えている、というわけです。
こちらはマグマが大地のすき間に縦に入り込んだため、横にひびが入ったのです。

さらに、同じマグマ由来でも、前者は「安山岩」、後者は「玄武岩」という石でできています。
色もだいぶ違いますよね。


「むか〜し むかし」のむじなの昔話から、さらに「そのまたむかし…」の世界。
でも、「お話」としてだけでなく、大地の実際の物語が刻まれている、と思うと、大地も歴史をもった生きた存在のような気がしてしまいます。