戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

おめでたい! その2

お正月にちなんで、おめでたい名前の貝をご紹介します!
「翁恵比寿(オキナエビス)」です。

とっても福々しいですね^^
しかもこの貝、今から5億5000万年前の古生代カンブリア紀から姿を大きく変えていない、「生きている化石」の代表格なんです。

(↑こちらは化石のもの)
中生代ジュラ紀ごろまで4億年にわたって栄え、その後衰退していった種類なので、化石では昔からよく知られていました。
その仲間が、現在も生きていることが証明されたのは1855年カリブ海で発見されてのこと。
その後日本近海でも見つかり、水深100mほどの沖合に細々とすんでいることがわかりました。
写真のものは鹿児島県沖のものです。

なかなか見つからないために、専門家の間では「幻の貝」と言われ、最も高額な貝としても有名だったそうです。
なんと「ミリオネラシェル」なんて別名も大げさではない額だそうですよ。
それに、貝の口のところにスリットが入っている変わった形も興味深いです。

普段は展示室で見られますので、お正月の縁起をかついでお参りなどいかがでしょうか?
さらに今年の夏の企画展では「美しい貝の世界」を堪能してもらう予定ですので、こちらもお楽しみに。