戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

カメを通してみえること

「えっと・・・ここは、これで・・・これは・・ちがうなぁ・・・」
Kさん(水生動物をやっている人)が、なにやら組み立てていました。
よくみるとカメでした。
組み立てているのはワニガメでした。

彼の机の後ろには、もう一つのカメがゴロリと転がっていました。
並べて写真を撮ってみました。
左はカミツキガメ(Chelydra serpentina)。右がワニガメ(Macroclemys temminckii)です。

この2つのカメは、生きているときの姿は似ていますが、骨格はだいぶ違っていました。
ワニガメの甲羅がスカスカなのは、「このカメはサイズが大きくて、とても強いため、もう身を守る必要がないのではないか」、ということでした。
これらは外来種で、在来生態系に影響をおよぼしています。日本に元からいる生き物を食べてしまい、生き物が減ってしまったり、いなくなったりします。今年は名古屋でCOP10が開かれましたし、その条約の一つの項目でもある生物多様性保全についてカメをとおしてみてみました。
今ではペットとして容易に手に入るこれらのカメ。
しかし、「飼育するならば責任をもって育て、野外に逃がさない(捨てない)ことが飼育者としての約束だな」と感じます。