戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

ツララ

ながーいツララが軒先に垂れ下がっています。
思わずポキリッとおりたい衝動にかられます。
そこで、ポキっと折って観察してみました。
透けてみえるほどの無色透明。とてもキレイです。
素手で触ったので、手が冷たくて、じーんと痛くなってきます。

よくツララをみてみると、空気が入っているのが分かりました。
この空気は、ツララができたときに閉じ込められたものなのでしょう。こんな氷の性質から、いろいろな地球の歴史がわかってきたのです。

グリーンランドや南極といった寒いところは、氷の大地ができる世界。その氷を地下深くまで掘ってきて、氷の中に閉じ込められている空気が調べられています。それで地球には、今よりも暖かかったり、寒かったりした時期があったということが分かりました。1960年代に、グリーランドのキャンプセンチュリーというところで氷が掘られていろいろと調査が行われました。それ以降は、つぎつぎといろいろなところで氷が掘られていきました。

「温暖化」という言葉をよく聞くようになりましたが、こんな言葉ができたのは、昔の地球の姿がよく分かってきたからなのだろうと思います。

今日は、ツララに閉じ込められている空気からこんなことを考えていました(ただし、ツララを持つ手が冷たいから、ゆっくりと思いは馳せられませんでした)。