戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

今日は中条産の化石を展示!

 

今日は戸隠地区の南西にある虫倉山のふもと、中条産の化石を展示しました。

 

戸隠の化石よりちょっとだけ古い、約450万年前のクジラやセイウチの化石です。

 

セイウチ(オントケトゥス)の頭骨化石(複製)は

シンシュウゾウの化石がみつかった同じ裏の沢で発見されたもの!

犬歯が、今のように巨大化する進化の過程を示す、絶滅種の化石です。

1展示室の鰭脚類コーナーに展示しました。

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クジラの右下顎骨の化石は、私も発掘のお手伝をした化石です。

今日は清水の舞台から飛び降りるような覚悟をもって、その苦い思い出を告白します。

 

この化石は長野高校地学班の生徒さんたち化石採集の際に発見し、

当時、大学2年生だった私めも、そのお手伝いで参加…

中条地区のみなさんから提供いただいた削岩機をつかった発掘になりました。

大型化石の発掘は初体験、しかも大型の削岩機も初めて…

みんな交代で削岩機を握りしめ、掘り進みます。

私も、当時は若かったので、一生懸命に作業に取り組んでいました。

 

ガッガッガッガッ… ガ、ガ、ガ、ガ ガッ  ビシッ! ウッ (_)!!

「しまった! やっちゃった!」

 

勢い余って、割ってしまった感触が今でも手に残ります…

 

結局4つのパーツに割れて、発掘となったのですが、

そのうちの一つは確実に私の仕業かと…

 

この化石を見るたびに、胸が苦しくなります。

 

その後、共著でナガスクジラ科の下顎骨と記載論文を書くことにもなった化石です。

ナガスクジラの全身骨格の前に、こちらは展示させていただいています。

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当面、これらの化石は当館で展示しています。

 

また、一緒に運んできた展示ケースを使って

イカイギュウコーナーも一新!

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コンブを主食にしたダイカイギュウと

海底に生えるアマモを主食にするジュゴンとの違いを、

頭骨から見比べてみましょう。

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