戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

大鳥居竣功式に地質屋として参列!

昨日のことです、

戸隠神社中社の大鳥居の竣功式が開催されました。

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画像は、鳥居のくぐり初めの様子です。

 

今回は野次馬ということではなく、

式典に御招待をいただきました。

 

くぐり初めにも、参加させていただきました。ありがたいことです。

 

なぜかって?

現場の責任者から、地盤の強度をしりたい、との依頼で、

s大学のT先生と一緒に、

鳥居の地下の様子を確認する栄誉をいただいたからです。

 

昭和11年から12年に建てられた、前の鳥居ですが、

その基礎部分は、詳しい記録が残っておらず、謎でした?

掘ってみないとわからない…

 

ということで、工事関係者からお声がかかり、

地質屋の出番となりました。

 

鳥居の建てられている、中社広庭を地下3mまで掘るなんて

すごいことです。

 

ワクワクしながら見に行くと、

立派な赤土(いわゆるローム層)が堆積していました。

その中には、飯縄山の噴火したスコリア層などを確認!

 

この広庭が、かなり安定した場所だったことが推測されます。

災害がない場所であったことが判明しました。

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やはり、神社をたてた人々は、こうしたことを考慮したはず…

 

 

それにもまして、目を奪われたのは、

先代の鳥居の基礎部分です。

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奥社の杜から切り出したスギの柱の地下には、

こうしたクリでできた基礎がありました。

「ほぞ」で組み立てられて、四方に支柱もあります。

その後、コンクリートで周囲を固めてもいます。

 

 

すごいなぁ 

鉄筋はないのですが、そのコンクリートの出来は素晴らしいものでした。

 

昭和初期の職人さんや棟梁さんたちの知恵と技術に脱帽です。

 

こうした仕事が、日本の伝統文化を影で支えていました。

 

そうした体験から、戸隠を見直すことができたのも、

この地で学芸員という仕事を続けてきた、ありがたみなのかもしれません。

 

天の時、地の利、人の和、を感じた、大鳥居竣功式でした…