戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

大事件 これが顛末だ!

昨日の大事件の顛末です。

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今日は運よく、戸隠ぼうけん団の活動日だったので、キジの司法解剖

 

 

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ここには、いろいろな猛者がいます。

 

鳥好き少年をはじめ、保存のよいご遺体と向きあっていました。

(内緒ですが、プロもいます…)

 

その結果の所見と推理をまとめました…

 

ご遺体を詳しく観察すると、外傷はありませんでしたが、

くちばし(上側)に亀裂がありました。

おそらく衝突時にできたものと推測…

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首の骨、肋骨、胸骨等に骨折はありませんでしたが、

右胸部、左前胸部に皮下出血を確認。

 

胸腔内を見ると、心臓の破裂(心室部)と激しい出血が確認できました。

 

心臓付近にたまっていた血液は凝固していましたが、

これは長時間低温下で保持された結果と見られます…

おそらくは心臓破裂による即死状態だったことが推測されます。

 

体の表面にもイノコズチの種子が付着していました。

鳥の消化器官である「そのう」や「胃(砂ぎも)」にも、

未消化のイノコズチの種子が多数確認されました。

他にも、ヤブマメ、ノイバラ、イヌツゲ?の実などが確認され、

餓死したわけではないようです。

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こうした所見を総合すると、このご遺体の死因は、

衝突による心臓破裂と断定できます。

ほぼ即死状態で、事件性はありません。

 

おそらく、イノコズチが生い茂っていた場所で最後の食事をとり、

飛び立ったものの、強風にあをられたか、吹雪により視界不良のため、

遺体発見現場の上にある校舎の壁にくちばしから激突、胸もぶつけ、

心臓破裂による出血性ショックで落下。

雪の中で即死状態で絶命したものと思われます。

 

死亡日時は、雪の中に埋もれていたため、詳細は不明ですが、

イノコズチの実をついばんでいたことから、

大雪の降る前で、その後で大雪で急速に埋もれたこと、

戸隠中学校付近の年末の気象状況をふりかえると

12月30・31日ごろかと推測しています。

 

元捜査一課長であった柴犬館長にその所見をつたえると、

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🐕「ワシはそんなこと、最初っから全部お見通しだ~」 とのこと、

 

🐕「また、匂いを嗅いだだけですべて分かった、ワンワン…」

 

 

今日もおあとがよろしいようで…