戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

これは大事件だ!

首都圏では大雪となり、その後の凍結で交通事故が多発しているとの報道…

 

戸隠も寒いです。

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裾花ダム湖もすっかり氷結しています…

 

そんな中で、お昼ごろ電話がなりました…

 

「大変です、身元不明の行き倒れです…」 かなり興奮した様子です…

 

「えっ? どうしましたか???(なぜ博物館に???)」

 

「キジが雪の中に頭を突っ込んで、亡くなっています…」

 

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🐕「なにっ…」

 

f:id:Naturalhistory:20220107110927j:plainベッドで眠っていた、柴犬館長もムクッと起き上がりました…

 

🐕「これは、正月早々の大事件じゃ、すぐに現場に急行せよ…」

 

館長からの特命です…

 

通報では、雪の山に頭を突っ込んで亡くなっているとのこと…

現場に向かう途中、こちらも頭の中がグールグル!!!!

 

凍結路でスリップして、雪の山に衝突したのでは… とか

 

窓ガラスにぶつかってなくなったキジが除雪時に巻き込まれて、

  それが溶けてきたのでは…

 

それとも、キツネの類が、後で食べるように埋めていたのでは?

 

とか、さまざまな仮説が浮かびます。

 

🐕「現場を十分に保全して下さい、できたら画像をのこして下さい」

 

セリフはまるで「科〇研…」です…

 

ところが、現場保全は十分ではありませんでした。

 

すでにご遺体は動かされていました…

 

🐕「残念じゃ、これでは鑑識作業ができん…」

 

「柴犬捜査1課長…(急に館長ではなくなりました) まず聞き込みを…」

 

第一発見者は、今朝登校した生徒さんとのこと…

そして、大騒ぎとなり、あわてて博物館に通報したそうです…

現場を目撃した先生に案内してもらいました…

 

そこには、まだ穴がきちんと残っていました。

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🐕「うーん真冬日なのが幸いしたのじゃ、これなら再現可能じゃ…」

 

捜査1課長の命で、今度はご遺体をその雪の穴にはめて再現を…

 

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先生にも「そうそう、こんな感じでした…」との証言を得ました。

 

🐕「う~ん、これは謎の状況じゃ…

   頭から突っ込んだ逆さのご遺体をみたのは、犬神〇の一族以来のこと…

    これは難事件じゃ… よき・こと・きく…」

 

未だ4才の捜査1課長が、なぜそんなことをしっている…とツッコミたくなります 

 

「捜査1課長の名推理は、いかがでしょうか?」

 

🐕「こりゃ、お宮入りかな… わしゃ戻って寝る…」

 

「そんなぁ、もっと粘ってくださいよ~」

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やはり、見た目は柴犬、頭脳も柴犬、捜査1課長は無理でした…

 

 

閑話休題

 

ご遺体は日本の国鳥のキジ ♂ 尾羽が短く、若い個体かと思われます。

死因は、死亡時の状況や外傷のない点から、

キツネやテンなどによる他殺ではなく、事件性は無いものと、

当局は見ています。

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なにかに当たって首が骨折し、落下したと考えられますが、

近くには、窓ガラスはありませんでしたが、校舎の壁がありました。

 

吹雪で視界を失い、強風により、壁に激突し、

雪の中に頭から突っ込んだ、との仮説が有力か?

 

しかし、現場の状況からみて、吹雪を避けるためにこの隙間に入り込み

凍死か餓死し、その後の強風により雪の中に埋もれた可能性も捨てきれません。

 

ご遺体は何日か雪の中に埋もれており、

詳細な死亡時刻の推定には至っておりません。

周辺をうろつく野生動物によって荒らされた跡はみられません。

詳しくは、司法解剖の結果をみての判断になるでしょう。

頭部や首の骨折の有無、胃の内容物の判定が重要になると思います。

 

今日のところはこれまで、

正月7日の大事件、柴犬捜査1課長の大活躍を紹介させていただきました…