戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

忘れずにちゃんちゃんとできるようになりたい(2023年の目標)

今日は暖かです 

なにしろ 最低気温も+

雪ではなく 雨

 

そのせいで

1/7には

クリスマス寒波で積もった雪が

2週間ほどたっても残っていましたが

 

それから1週間と1日経過した今朝には

ほぼほぼ溶けました

なにしろ今日は雨模様

一番寒い時期のはずなのに・・・

 

 

さて 話はかわりますが

先にちらとふれた惨状 に ついて

今回はご報告したいと思います

 

そもそもは

ずいぶんと前に

(いつだったかは某職員の記憶からは抜けている^^;)

某所で保管していたものの

廃棄されるというのを聞きつけ

それなら うちで・・・と 頂いたもの

 

それを

館内の某所に保管(放置)し

そして 数年前

これなに?って感じで 

発掘してきたもので

 

すっかり乾燥して

ミイラ化しているようなので

処理を後回しにしていたのでした・・・

 

発掘してきたものの

袋に梱包されてるし 

館内はスペースがないので 

野外の陰に保管していたのですが

 

経年劣化で袋はやぶれ・・・

そこを目ざとく動物がみつけて

ちょいと

ちょっかいを出してきたところでした

 

ライオンのかみ砕いたウシの骨を

展示するために

洗って干したとき

それに気づき

取捨選択をすることに

 

雨があまり降りこまない場所の陰に保管(放置)していたものの

それでもやっぱり野外は野外^^;

長い年月をかけ 水がしみこんでいました

 

そのため 一度はミイラ化したものも

水がしみこみ ぐちょぐちょに><

ものによっては重みで頭骨もぺしゃんこ

そして多くのものでラベルが風化し

ほぼ読めない状態に^^;

 

多くは鳥で 何とか使えそうなものを

拾い上げ とりあえず 1個体1盆で回収

どろどろでこれなに?ってものも多く

まさに 悲劇的惨状(自業自得なんですけど・・・)

部分的なものも含めて43個体ほどを回収しました

 

洗う前はこんな感じです

これを洗って 骨をひろったものが

第1陣は23個体ほど

残りはあまり湿らずにミイラ化のままなので

袋に入れ直し 後日の作業に^^;

(また 放置プレイになる前に進められるようにしたいです)

 

ここからも問題が^^;

こんな感じでラベルが読めるものはよいのですが

多くはラベルが崩壊

惨状を見てもわかるかと思いますが

羽根の模様や色も判然としないものも多く

種類もわからないものもありました

 

ここからは探偵のような作業

中にはこんな個体がありました

 

お腹の羽根は白と黒のまだらで

タカ? アオゲラ? の ような感じ

でも くちばしは曲がってない

ラベルは 〇〇ケラ と 書いてあるように見えるような・・・

で キツツキの仲間かな?

でも 下あごの突起は キツツキにはないかも

 

こちらはアカゲラ

先日紹介しているように

少し見にくいですが

キツツキの仲間は舌が長いので

舌の収納するための溝が頭骨についています

アカゲラにもありますが

キツツキの仲間かなと思ったものにはありません

 

ということは 

キツツキとは違うものということに

 

ヒントがなくなったと思っている某職員は

上腕骨の骨のサイズをもとに

鳥の大きさと種類を推定

 

すると 手持ちの資料では

ジュウイチやホトトギスサイズの鳥であることが判明しました

 

そこで

収蔵資料からカッコウ目の資料と比較すると

下あごの突起はカッコウの仲間にはあり

中ではカッコウが一番近そうということに

 

で カッコウは ハイタカに似たカラーリングで

托卵する際に ホストの鳥に邪魔されないようにしているとか・・・

 

あ・・・

 

ごほんっ

ラベルの謎は残りますが 

わかってよかった^^

 

でも

わかったものはいいのです

 

ものによっては

わからないかもしれないものも

羽根の情報も ラベルの情報も 

資料も 標本の収蔵もないものも

 

おそらく形状から

シギチの仲間だろうなと

大きさだけで アカエリヒレアシシギと仮同定

 

というのも このサイズのこの仲間で

過去に記録があるものはそれくらいなので・・・

ただ 収蔵標本は破損していて頭骨の比較はできず

 

他にも

サイズ的にはタシギ

でも 次のやつの方がタシギっぽい気がする

 

上の個体はえらいくちばしが細い

個体差か? 

経年劣化して細くなったのか?

そもそもそんなことあるのかな?

どちらにせよ

ここではヤマシギくらいしか

もっていないので比較できず

また 画像資料だけでは

劣化していることもあって よくわからない・・・

 

もともと廃棄されるところだったものですが

やはり

あまり放置して は いけませんね

そして 保管や管理も しっかりしないと・・・

 

その反省をもとに 来週からは 

もう一つため込んでいるものを

悪くなる前に処理していきたいなと

準備をはじめました

20L の なめし液

 

皮資料です

 

順次 

解凍・処理の予定です

この冬で できるだけ

なめしてしまいたいところ

 

なにより 

標本を無駄にしないために

 

そして

受入スペースに余裕をもつためにも

 

ついでに

皮コーナーのアイテム追加と充実のためにも

 

 

そうそう

延長展示をしてきた企画展 「河原の石ころ」ですが 

2月の頭あたりに撤収をすることになりました

 

1月中は 大丈夫ですので

見逃した もしくは また見たいな という方は

1月いっぱいを目途にご来館ください