戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

春を呼ぶ雨・・・

今日は朝から雨降りです。

 

 

雪は積まれてあるところ以外は、ほとんどなくなりました。

 

今日は平日ですが、春休みということもあってか、

お客さまがぽつぽつ訪れます。

 

こんな足元の悪い中、ありがとうございますm(__)m

ゆっくり館内を楽しんでいただければと思います。

 

ちなみに3日前、土曜日は、

午前中に降った雪が、午後には日差しのおかげでどんどん融けていき、

 

 

旧館の屋根の雪が落ちる音で、

春が近いことを実感することができました。

 

その土曜日の午後に、半開きだったウメの花は、

 

 

咲き進んだものの、今日はぐっしょりと濡れそぼっていました。

 

春の雨は花の雨。

春の到来を、雨と花が教えてくれます。

 

 

さて昨日、仲間と、

春一番の花を探して市街地に近い林の中を歩きました。

そこで、花以外にも面白い発見がありました。

 

 

黄色いアシナガバチの巣です。

一冬、雨や雪にさらされていたはずですが、

とてもきれいに保たれていました。

 

調べてみると、この特徴的な黄色から、

キボシアシナガバチの巣だということがすぐにわかりました。

 

「黄星足長蜂」という名前の由来は、

ハチの体の模様とする説と、

この黄色い巣のようすからとする説と、両方あるようです。

個人的には、巣のようすに一票入れたいところです。

 

横からみると、

 

巣の各部屋の出口付近だけ黄色いです。

繊細な素材の風合いが残った和紙のようにも見えます。

 

なぜ黄色くなるのだろうか、と不思議に思っていたのですが、

土台の茶色い部分は、女王バチや先に孵った働きバチがつくったもの、

一方、黄色い部分はその部屋で育った幼虫が、

さなぎになるときに、自分で出口をふさいだふた、

つまり繭の一部なのです。

作り手も、材料も違うものだった、ということがわかりました。

 

また、このアシナガバチは、攻撃性が比較的強いそうですので、

危険信号としての黄色、

巣に近寄るな、という威嚇の意味もあるのかもしれません。

 

去年の落とし物から、妄想がふくらみました。

生き物がにぎやかな季節が待ち遠しいです。