戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

フキノトウの綿毛

昨夜の雨でまたいちだんと緑が濃くなりました。春早くに咲き出した花はすでに実を付けだしています。9日のオオイヌノフグリに続いてまたタネ話で恐縮ですが、1つ。
タネと綿毛というとタンポポを思い出されるかたが多いかと思いますが、同じキクの仲間で綿毛を作るものは多いです。博物館の周りではセイヨウタンポポ・シナノタンポポと並んで今綿毛を付けているのはフキノトウです。地面に顔を出したばかりのときに職員に散々摘まれてしまったのですが、残ったものは30cm以上も成長して綿毛を付けるまでになりました。1つ1つの綿毛はタンポポよりも小ぶりですが、それがいくつも並んでいるので、なかなかきれいです。

さらにこの綿毛をばらしてみると、タンポポのものとは少し違っていることに気が付きます。タンポポにはある綿毛とタネとの間の長い柄が、フキの場合はないのです(写真の左はセイヨウタンポポ・右はフキ)。タネから直接長い毛が出ていて、なんとなくアンバランスのようにも見えます。この構造の違いでタネを運ぶ距離も違ってきそうですが、どうでしょうか? 今度試してみたいと思います。