戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

アリが運ぶタネ

初夏の陽気が続くこの頃、博物館の周りで見られる花も様変わりしてきました。春の到来を教えてくれた花たちは、今はもうタネをつけているものが多いです。以前ご紹介したタンポポやフキのように綿毛でタネをとばすものもいますが、他にも面白い方法でタネをばらまこうとしているものがいます。今回はアリに頼るタネたちです。タネにアリが好きな糖分や脂肪分のかたまり(エライオソーム)をつけておいて、アリにごちそうをあげる代わりにタネを運んでもらおうという作戦です。
写真は道ばたや田畑の土手でよく見られるヒメオドリコソウのタネです。白い部分がエライオソームになります。同じようにアリに頼っている植物は、他にスミレの仲間やカタクリエンレイソウムラサキケマンなど、日本に約200種類もみられるそうです。生き物たちは人知れず、お互いに深い関係をもって生活しているのだな、と感心させられます。