戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

天の岩戸伝説

最近、雨が続いていたこともあり、曇って見えないのではないかと、はらはらしましたが、ばっちり観察することが出来ました。ここ戸隠では皆既日食とまではいきませんでしたが、太陽の7割くらいが月の陰に隠れて、昼間なのに薄暗くなり、少しですが肌寒い感じさえしました。
こんなにすばらしい天体ショーが見られることはめったにないので、近くの戸隠小学校で観察会を行いました。付近の住民の皆さんも参加して、総勢230人くらいで日食を見守りました。日食グラス(メガネ)やピンホール(小さな穴の開いた紙)、鏡を使ってしだいに欠けていく太陽を目の当たりにして、みんな大はしゃぎでした。
話は変わりますが・・・ 戸隠山(標高約2000m)は、天照大神(太陽の神さま)が隠れた天の岩戸が飛んできてできたという伝説があります(この伝説が戸隠山の名前の由来だそうです)。その岩戸を投げ飛ばしたとされるのが、戸隠神社の奥社にまつられている手力雄命(たぢからおのみこと:力持ちの神さま)です。この伝説は、日食をモチーフにしたものとは知っていたものの、実際に体験するとすごく神秘的で、昔の人の想像力はすごいなぁ、と妙に感心してしまいました。

みんな日食グラスや鏡を手に太陽の変化を観察しました

10時33分撮影。10時ころ右上から欠けはじめました。

11時13分撮影。長野周辺で最も欠けた状態。

11時52分撮影。だいぶ満ちてきました。このあと雲ってしまったので、残念ながら完全に円くなるまでは観察できませんでした。