戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

約175万年前の豆まき

 一昨々日は節分でした。恵方巻きを食べたり、「鬼は〜そと、福は〜うち」と豆まきをした方も多いのではないでしょうか。
 さて先日、休日を利用して伊那谷(正確には伊那盆地かな)に行ってきました。そこで、なんと今から約175万年前の豆まきの痕跡(こんせき)を観察してきました。そんな大昔に豆をまく風習があるわけないじゃないか!と突っこみを入れたくなるかもしれませんね。
 確かにそんな風習は、まだ生まれていなかったでしょう。なんと言っても、原人と呼ばれる古いタイプの人類がようやく誕生したような時代ですから。
 では、豆をまいた犯人は誰だったのでしょうか・・・・
 実は火山だったのです!!
 そんな、火山が豆をまくはずがない!と、また突っこまれそうですが。火山も時として豆をまくんです。正確には火山豆石(かざんまめいし)といいます。そのでき方は諸説あるようですが、火山が噴火して細かい火山灰を空中にまき散らすと、上空の水滴や静電気によりくっついて数mm〜1cmくらいの丸い玉になって降ってくることがあると考えられています。
 今回観察した火山灰は、北アルプス穂高岳付近)で約175万年前に巨大な噴火によって、広い範囲にまき散らされたものだったのです。どのくらい広いかというと、西は淡路島、東は千葉県、北は新潟県でも同じ火山灰が見つかっています。
 さぞ盛大な豆まきだったのでしょう。でも、こんな噴火が今起こったらと考えるとゾッとしますね・・・

指の右斜め上に5mmくらいの丸いもようがあります。これが火山豆石です。そう思ってこの写真をよく見ると、たくさんの豆石が入っているのがわかります。

火山灰層は全体で80cmくらいの厚さがあります。そのうち草かき鎌の刺さっている10cmくらいの部分にたくさんの豆石が入っていました。


なお、本日は豆まきならぬ、雪が物凄い勢いで空からばらまかれていました・・・
時より風が強く吹いて地吹雪になっています。
早く春来ないかなぁ。