戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

今日は山をみる!

今日はお昼ごろ、少し晴れ間がでました。

 

その陽気に誘われ、昼休みには館の周囲を散歩…

 

デジカメをもって、うろつきます。

 

もちろん、この日記のネタ探しでもあります。

 

日当たりのよい場所では、オオイヌノフグリやノボロギクなども咲いています。

 

昨日ほどではありませんが、フクジュソウも咲くんじゃないか?

という陽気でした。

 

本当に水不足が心配になります。

また、2月・3月に大雪っていうのもやだなぁ…(-"-)

 

そんな中、裾花川の谷をみました。

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中央の谷が裾花川の谷、左側(北側)は飯縄山麓、右側(南側)は陣場平山系…

右側の少し白く見える平坦地が、坪山地域になります

 

手前の平らな畑は、博物館のある東の原

かつて、この平らなところを裾花川が流れていました!

 

その後、戸隠を含む西山地域の隆起(長野盆地の相対的沈降)があり、

裾花川は深い谷をつくっていったのです。

その間の浸食量は、標高にして約150m!

深い谷…

高妻山から流れ下る裾花川は、それだけの水が集まるのだ、という証拠…

 

その谷の先には、アズマヤ山・ネコ岳が見えます。

 

 

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漢字でかくと、「四阿山」「根子岳」です。

 

今、話題の地質時代チバニアン(千葉期)」

第四紀中期更新世(77万4千年~12万9千年前)の初期に

噴火をはじめた火山…

 

その噴火の溶岩は、ラグビーで有名な菅平高原をつくりました。

山頂部には大きなカルデラがあり、そこから流れくだった石ころは、

須坂市扇状地をつくりました。

 

博物館の北側には、飯縄山

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こちらも「チバニアン」 第四紀中期更新世(77万4千年~12万9千年前)の中頃に

噴火した火山…

 

そこから流れくだった石ころは、裾花川や浅川の扇状地になっています。

 

つまり、長野の周囲には「チバニアン」に噴火した火山だらけ、

そして、長野盆地の地下には「チバニアン」の地層がたくさんある…

ということでございます。

 

千葉県で18歳まで育ったワタクシとしては、ちょっと誇らしい気もします。

 

長野では、チバニアンは山の隆起が激しく、大変動の時代です…

千曲川の流路が大きく変わった時代です。

 

しかし、千葉ではちょっと深めの海に連続して砂や泥の地層がたまり続け、

その時代の記録をたくさん残しているということになります。

 

その地層には、地磁気の逆転や木曽の御岳の火山灰が保存されています。

微化石から当時の古環境も復元でき、その移り変わりも分かるので、

世界を代表する地層群に選ばれた、というお話です…

 

今日は、ちっとばかし、話が長くなりました。

 

最後に、こんなもので締めくくります。

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ハチがつくった巣なのですが、10㎝近くもあります。

高さも3㎝ぐらいあります。

 

大きな山です。

ドロバチかなぁ、しかし、よく作りましたよね…  

 

今日のところはこのぐらいで