戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

アサザ

今日は植物観察会が開かれました。
(でも写真を全然撮っていなかったので、1週間前の下見の写真です^^;)
戸隠を離れ、善光寺平を横断し、松代地区へ。
目的は、金井池に咲くアサザという水草です。
県内でも生育地が限られていて、見られる場所はわずかですが、

この池には、岸辺に黄色い花がたくさん咲いています。

こんな花です。花弁の周りにフリルがあって、なかなかかわいらしい。


アサザはちょっと変わった繁殖のシステムをもっています。
写真のように雄しべが上に出ているタイプと、逆に雄しべの位置が低くて雌しべが長く突き出ているタイプとがあって、2つのタイプの間で花粉をやりとりして受粉をしないと、ちゃんと種ができないんです。
(同じシステムは、ソバやサクラソウの仲間ももっています)


1つ1つの花は1日しか咲いていないのですが、チョウやミツバチがよく訪れていました。蜜が多いのでしょう。

本当なら、これだけ咲いていて、花粉を運んでくれる昆虫が来ていれば、種がどんどんできるはずですが、この池には受粉の相手となる別のタイプの花がないので、種はできません。

植物の子孫を残す作戦が、うまく働いていない、そんなお話もすることができました。


また、隣の金井山は戦国時代の山城があった場所で、展望台まで10分ほど登るだけで、善光寺平が一望できます。

水辺の植物だけでなく、林にはえる植物も観察できて、盛りだくさんの会となりました。
それに、参加された皆さんの自然に対する知識のレベルが高くて、かなり勉強させてもらいました。ありがとうございました。


それから、今日は市内の某高校の地学グループが博物館へやってきました。

クリーニングも熱心に行い、なかなかいい化石を見つけていました。
来年の学園祭での発表に使うそうです。いろいろな企画などの話を聞かせてもらい、若いパワーを浴びました^^


様々なかたと出会い、知識とエネルギーと刺激をたくさん得た1日でした。