戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

9月最終日も暑かった(@_@;)

昨夜は雲から見え隠れする満月が見えました^^

ぼけぼけですね・・・m(__)m

 

朝夕はだいぶ涼しくなったものの、日中は30℃近くにあがりました。

そんな中、千曲川沿いで開かれた植物観察会では、

戸隠からきた職員が一番へばっていたことは間違いないでしょう・・・

 

江戸時代、人の手で千曲川の流れを変えたときに河跡湖として水が残された金井池には

県内でも貴重なアサザの群落があります。

 

 

 

黄色いアサザの花は1日花で、毎日新しいつぼみが開きます。
7月ごろから咲いているので、花の数がとても多いということですよね。

 

ただ、残念ながらここのアサザは種をつけることがおそらくできていません。

確認した限り、雄しべが長くて雌しべが短い、短花柱花(たんかちゅうか)

というタイプしか、この群落には咲いていないようです。

 

外側の雄しべが長く、よく見えています。

 

この逆の雌しべが長いタイプが長花柱花(ちょうかちゅうか)で、

これら2つのタイプどうしで花粉をやりとりしないと、結実しないのです。

 

ソバなどのタデの仲間、サクラソウの仲間にも、このような繁殖システムをもっている種類が知られています。

 

ちょうど同じ金井池の岸や、集合場所にした市立博物館の池の水辺には、

シロバナサクラタデが咲いていました。

 

 

花粉を出している外側の雄しべが長いので、これも短花柱花。

雌しべは中央に2,3本見える先が白く丸いものです。

 

こちらも、下見の時点でいくら探しても短花柱花しか見つからなかったので、

戸隠の休耕田(8月の観察会の開催地)に咲く、近縁のサクラタデを比較用に、朝、寄り道して持参しました。

 

(戸隠の休耕田のサクラタデ群落)

 

このアップの写真を撮影したのが、観察会が終わり、戸隠まで戻った後なので、花がだいぶよれよれですが、

中央の先が白く丸い3本の雌しべが長く伸びているのがわかると思います。

 

そして、付け加えるなら、このサクラタデ群落では今のところこの長花柱花タイプしかみつかっていません。

 

仲間が多くいるようでいて、どこも結婚相手がいない、孤立状態;;

地下茎で増えますが、個体の寿命がきたら、絶えてしまうかもしれません。

金井池のアサザも前回訪れた7年前と比べて、浮葉が池を覆う面積が激減しています。

凝った繁殖システムが、命取りになっているのかもしれません。

今後の行く末を見守っていきたいと思います。