戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

古墳と子どもたち

大型連休初日、お天気に恵まれて、
博物館へもご家族連れのお客さまが多く訪れました。
ありがとうございますm(__)m



松代、大室古墳群での植物観察も無事に終えました。
古墳について担当職員のかたのスペシャトークもあり、
古墳に入る体験もさせていただいき、
(子どもたちとおっかなびっくり^^)
いつにもまして楽しい観察会となりました。


また、参加されたかたから、イチリンソウの自生地について、
新情報をいただき、帰り道に探してみました。


無事に発見できました^^
個人的には初めての長野盆地西側での自生地確認です。
ありがとうございます、Yさん!


くねくねとした山道を通っていると、
新緑の裾花川の谷の隙間から、アルプスがのぞいていて、
なかなかきれいでした。



先日、夏の企画展のために、戸隠を訪れた文化人を調べていて、
尾崎喜八という詩人が、戦前に「飯綱高原」という詩を発表されている
ことを知りました。

戦後には県内に移住したご縁もあって、
長野高専や松代中学の校歌も作詞されています。


ちょっと長いですが、ちょうど今頃の新緑の風景なのでご紹介します。
よかったらどうぞ。

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飯綱高原  
 若い太陽、吹くとしもない宇宙の風、
 大きな春が今いちど山々へ帰って来た。
 今いちど遠い山脈は残雪にかがやき、
 今いちど近くの唐松は新緑にけむって、
 その甘い匂いに空気をかおらせる。

 ああ、高原よ、
 花ざかりの蓮華躑躅(れんげつつじ)や棠梨(ずみ)の藪で
 涼しくきよらかにあおじが歌う。
 冬の曇りの拭われた空の手鏡、
 つめたい池の上を鴛鴦(おしどり)がすべる。
 膝の上に腕を立て、頤を支えて眺めれば、
 きょう飯綱も戸隠もあおあお晴れて、
 裾花の谷はきらきらと麗らかな春霞、
 その霞の底の山桜や鶯や、民家や街道への想像が、
 春の真昼の夢の世界で私を人生へ結びつける。

 ああ雪にかがやく遠い壮麗な山脈よ、
 ああ五月の春に酔う高原や谷々よ、
 やがて来るおんみらとの別れの予感が、
 此の宇宙の調和の前でひとしお哀愁をそそる時、
 私を抱きしめて瞬間の受用に溺れしめよ!