戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

道祖神に・・・

戸隠では正月15日、地区ごとにどんど焼きが行われます。

最近では連休中に行う地区も増えたそうです。

会場は集落のはずれにある道祖神の近くの広場です。

 

私が住んでいる地区は、こちらの道祖神さま。

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年代がわかりませんが、かなり古そうで、お顔もはっきりしません。

手をとりあい、肩にも手がまわっているように見えます。

とても仲良さげで、ほほえましいです^^

 

ところで、石がオレンジ色になっている部分は、何かというと・・・

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地衣類(ちいるい)という生きものです。

地衣類は、菌類(主にカビの仲間)に、

光合成をする藍藻類や緑藻類が共生したものです。

菌類は藻類に住みかと水分を与え、

藻類は菌類に光合成でつくりだした栄養分を与えています。

右側の神様のおでこについている、白っぽいものも地衣類の仲間です。

 

石やブロックにもつきますが、木の幹にもその仲間がよく見られます。

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コケと一緒にはえていると紛らわしいですが、

白くてちょっと固そうなの地衣類です。

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じつはこの共生体である地衣類は、陸上植物がうまれるより古く、

5億年以上前に陸上に進出していたという説もあります。

岩石しかなかった陸地を、少しずつ分解し、

土壌をつくり、植物の上陸を助けたとも・・・

 

双体道祖神と2種類の生物の共生体である地衣類と、

眺めていると

 仲良きことは美しきかな

との昔の人のことばがしみてきます。