戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

年度末 解禁!?

令和元年度の最終日です。

秋には台風被害で長野をはじめ

東日本は大きなダメージがありました。

そして、このごろはウィルスの猛威により

世界が大きなダメージを受けています。

 

ついつい後ろ向きになりがちなので、

ここでぱーっと今までご紹介していなかった

全国区ネタをご披露します!

満を持して、解禁です(?!)

 

すでに一昨年のことですが、

あの 少年向け人気漫画雑誌を出している集〇社の編集部のかたが

当館へ取材に来られました。

 

鬼や刀を題材にした漫画に関連して

戸隠や鬼無里の鬼伝説を取材するためです。

 

そして学芸員の熱い解説と、取材陣とのやりとりが、

出版社のHPの無料漫画コーナーに掲載になりました!

 

https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156638372912

(21話です)

 

けっこう楽しい内容だと思うので、よかったら読んでみてください。

 

さて、その漫画の人気がどんどん高まるにつれて、

全国で関連する場所が聖地になっているらしいと聞きます。

 

しかし何といってもこの戸隠の近くには

前の取材でもご紹介しなかった、とっておきの鬼伝説があるのです。

 

それは、裾花ダム近くの

「お善鬼谷の三竈(おぜんきだにのみかまど)」です。

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裾花側の崖に面した3つの洞穴には、

その昔、鬼が石を積み上げて作った竈 という伝説があります。

しかもその鬼は、心優しい力持ちの鬼で、

「お善鬼さま」と呼ばれ土地の人々に愛されていました。

近くには、そのお善鬼を祀った神社もあるのです。

 

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入り口の鳥居です。

 

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本殿の額には神様になった鬼「善鬼大明神」の額がかかっています。

 

人々に愛される善い鬼がつくった3つの「竈」。

一漫画ファンとして、

なかなかよい繋がりではないかと、勝手に楽しんでおります^^

 

大きな洞穴がなぜ高い位置にあいているのか?

そのなぞをとく鍵は、戸隠を含む一帯の隆起です。

今より高い位置を流れていた裾花川が、

やわらかい場所を削って穴をあけ、

さらに大地が隆起するのにともなって

今の位置まで川底を深くけずっていったのです。

 

さて、このお宮は昭和の初期には、

「小田切八景」の一つとして歌碑も建てられました。

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詠んだのは、長野県歌「信濃の国」の作詞者として知られる

浅井洌先生です。

 

「みかまどの 神の宮居は世の中の ちりも及ばぬところなりけり」

 

お善鬼さまのパワーで、

世界に蔓延している 憎きちり を追い払ってほしい

 

そんな願掛けが届くよう 祈るばかりです。