戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

12年ぶり

先日ふと思い立って、

12年ぶりに寄ってみました。

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通勤途中の道沿いにある田んぼです。

田起こしの前で、小さな草がびっしり生えています。

 

じつは、戸隠にすみはじめた最初の春

この田んぼでみつけた植物

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キク科のコオニタビラコ ですが、

これまで戸隠内で他でみかけないので、

貴重な場所だと再認識しています。

 

別名が「仏の座」で、じつは春の七草の1つなのですが、

一番野外で見つけるのが難しい春の七草です。

 

現在、正式な植物名でホトケノザと呼ばれるのはこちら

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シソ科の植物です。

蜜を吸った記憶があるかたもいらっしゃるのでは。

別に毒ではないので、七草がゆに入れてもいいかも

しれませんが・・・、紛らわしいです。

 

さて、この田んぼではコオニタビラコ以外にも、

色々な田んぼ雑草がはえています。

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白いのはノミノフスマ、

それにイネ科のスズメノカタビラ、スズメノテッポウ

 

タネツケバナが多い場所もありました。

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ノミがつかうような小さな衾(ふすま=布団)

スズメが着る帷子(かたびら=一重の着物)

スズメがもつ鉄砲

種もみを水につける時期を教えてくれる花

 種漬け花

と、昔の人が親しんで名づけた名前ばかりです。

 

しかし、この中にも最近、数を減らしていて、

いつのまにか外来植物に置き換わっている植物があります。

 

戸隠でも急増しているミチタネツケバナ

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(前のシソ科ホトケノザの隣にも写っています)

タネツケバナより花が小さく、

種が入った長いさやが真上にすっと伸びて、

実の時期に根際の葉(根生葉)があるのが

識別ポイント

道端、畑脇、庭など どんどん増えています(-"-)

(時々、これをタネツケバナとして掲載している

 本やネットのページをみかけます)

 

そして、じつはスズメノカタビラも。

道端などによくはえているのは

外来種のアオスズメノカタビラです。

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左が田んぼに生えていたスズメノカタビラ(在来種)

右が道端のアオスズメノカタビラ(外来種

 

在来種は全体に黄色っぽいのに対して

外来種は緑が鮮やか(青っぽい)のが第一の識別点。

そして正確には、

顕微鏡で葯の大きさや毛の量を確認しなくてはなりません・・・

写真の中央のは、黄色っぽいけど外来種のほうだったので、

やっぱり難しいです。

 

こちらはその存在に気が付いたのが最近なので、

12年前からすでに戸隠でも外来種ばかりだったのか

そうでないのか、わかりません(+_+)

 

10年ひと昔ですから、

どんどん変わっていくのもいたしかたないのでしょうが、

ちゃんと記録しておかないといけないなと感じます。

 

この貴重な田んぼも、水耕をやめてしまえば、

この草たちも生き残れないかもしれないですし。

 

5歳児の声

 ぼーっと生きてんじゃねーよ!

が聞こえてきます。

まったくその通りです・・・