戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

台風一過

昨日の台風は

長野市周辺には大きな被害をもたらさずに去っていきました。

よかった、よかった^^

すっきりとは晴れませんでしたが、

ミンミンゼミやアブラゼミの声は、一日響きました。

 

これから実りの季節を迎えます。

田んぼの稲も、穂が出て花を咲かせています。

すくすくと育ち、無事に収穫ができることを祈ります。

 

戸隠の田んぼの生き物を10年以上調べています。

網で水の中をすくって、バットにあけると、

トンボの幼虫(ヤゴ)や小さなゲンゴロウの仲間などが入ります。

 

こちらはコシマゲンゴロウ

久々にその美しい姿に出会うことができました^^

 

タイミングよく、その幼虫らしいのも網に入りました!!

 

このひょろっと長い幼虫が、ゲンゴロウになるのだから、

昆虫の変態というのは本当にふしぎです。

 

ゲンゴロウに似たガムシの仲間(写真はコガムシ)も、

幼虫は個性的な姿をしています。

バットに入れても悠々と泳ぎまわり、

ユスリカの幼虫などをその大あごで捕まえてしまいます。

 

隣り合った田んぼでも、

耕作をする農家さんによって、水の中のようすが全く異なります。

一枚一枚の田んぼが、生き物たちの小宇宙^^

網ですくってその一端をのぞくたびに、

わくわくしてしまいます。

 

このところ、トンボに影響が強かった農薬の使用が減り、

田んぼで羽化するトンボが増えてきました。

一方で、耕作をやめ、水を入れない休耕田も増えました。

長く調査をしていると、そんな変化もみえてきます。

 

蒸し暑い、夏の田んぼの風景の中に、

じつは、お米と一緒に無数の命がぎゅっとつまっています。

人の営みと自然とは、

とっても近いものだと改めて感じます。

 

実習が終わり、静かな(来館者は多いですが)館で

台風一過に、物思いをしてしまいました。