戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

実りの秋

先日、兄弟館の鬼無里ふるさと資料館の受付で、

トチノキを見せてもらいました。

 

普通より大きな実です。

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実の割れ目からみると、中には2個の種が入っていました。

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資料館の近くで採取したそうですが、なかなか珍しいものではないか?

とのお話です。

 

へぇー いろんなものがあるのだねえ

 

調べていただくと、6個の胚珠ができ、

それが普通は一個だけが大きくなるそうです。

 

時折、2個残る場合もあるとのこと…

 

そういえば、ソバの花もおわりつつあり、実がなり始めています。

 

その時の雲、

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「天高く、馬肥ゆる秋!」

 

空をかける馬のような雲でした。

 

ラグビー日本代表の快挙を祝うような感じでした

 

 

 

 

若者の活躍

雨に降られず、おかげさまで予定通り観察会が開催できました。

よかったです^^

 

今日はいつも来てくださっている植物の専門家の若者(Y澤さん)以外にも、

高校生がお二人参加してくださり、

ぐっと平均年齢が下がった観察会になりました。

 

象山カシワはやはり迫力ありました。

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頑張って生きているね~ と皆さんから称賛の声があがります。

ちゃんと実(どんぐり)もつけていました。

 

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枝が低い別の木のものですが、

大きくなりはじめたカシワのどんぐりが間近で見えました。

それを覆う殻斗(かくと)、

つまりコナラやミズナラのどんぐりの帽子にあたる部分ですが、

カシワの場合は大きくて鱗片が飛び出ています。

 

これがもっと針状になって、中のどんぐりを

完全に覆ってしまうのが、クリ です。

(中身が1個ずつでなく、3個入るという違いもありますが)

同じブナ科の仲間の特徴です。

 

象山カシワからは松代の町の一角がよく見えました。

地元だという高校生が、解説をしてくれました。

ありがとうございます!

 

山頂では、ハギの仲間以外にも

乾いた草地の植物、カセンソウがきれいでした。

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乾いた場所に咲くのに「河川草」は変、と言われ

調べてみたら「歌仙草」でした。

しかし、その由来はわからないそうです。残念。

 

ただ、植物に詳しいY澤さんが、

「初めて見ました・・・」

とつぶやいてくれたのがうれしかったです^^

 

標本づくりも目的のはずの観察会ですが、

最近では彼にまかせっぱなしです。

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(駐車場近くの河川敷で大型植物を採集中)

いつもありがとうございます!

 

来月が今年度の、最後の観察会になりました。

10月26日(土)、地附山トレッキングコースです。

こちらも魅力的な山です。ぜひご参加ください。

 

 

 

 

青とピンクと紫と

先日 珍しい卵だよと頂いたものがあります

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青とピンクの卵です

 

アローカナという品種の鶏のものらしく

調べてみると

チリのAroucanosという部族が後生大事に守ってきた鶏

コロンカ と クエトロ の 交配種だそうです

 

アローカナの原種は産卵数が少ないので 

現在国内で流通しているものは

白色レグホンやら

赤玉系コマーシャル鶏などの交雑種だそうですが

こいつは白色レグホン系のようです

 

原種はもう少し卵の色が濃いそうですが

それでも たしかに青っぽいですね

 

 

食べずにもったいないとも思いましたが

青いのとピンクの1つずつタマゴ標本にして

乾燥させていたのができあがったので

現在 受付で展示中です><

 

 

それにしても

同じ鶏がここまで違う色の卵を産むのは不思議ですよね~

 

ネットで調べて 整理してみたところ

(間違っているかもしれませんが・・・)

殻の色は殻ができるときに色素が沈着して発色するのですが

この鶏ではどうやら

おおもとの物質はプロトポリフィンというもので

これが酵素の働きによって変化していく中で

ポリフィリンやベルビルジンになるようです

ポリフィリンは赤系

ベルビルジンは緑系のようですので

メスの体内のなにかが影響して

働く酵素が変化して

ピンクになったり

青くなったりするようです

(血液由来とか、胆汁由来だとかも書いてありましたが・・・)

 

ちなみにポリフィリンは

縄文から弥生時代にも使われていた

貝紫・ポリフィラが名前の由来となっているそうです

 

一度やってみたかった

レイシガイで染める紫色に

青い卵とピンクの卵が

化学物質でつながるなんて!と

よくわからないけど 

なにかうれしかったりしてる

某職員がいます^^;

(やはり変わり者だよね~って声が聞こえる・・・)

 

ちなみに明日は

柳原交流センターに展示物をもって出張します。

お近くの方はいかがですか~

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普段とは違う感じで出展です><

まぁ 

持っていくものはいつも通りなんですけど・・・

 

青と黄色と桜色

秋も深まり

地層見学シーズンに突入!

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いいお日和

 

 

空は青く

クモの巣は黄色い^^;

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右隅の糸がわかりやすいかとおもいますが

どうやら花粉がくっついて黄色くなっているようで

作り直ししない糸はより黄色いようす

 

野外にでるといろんな発見があるものだ

 

 

このところ某職員は

ちょいちょい釣りにいくのですが

先日釣りに行った折に

食べようと思ってもちかえった

小さなタイがいました

 

帰宅後も元気だったので

小さな水槽(海水をいれて5か月回していた)にいれたところ

けっこう元気にしているのです

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ふむふむ

エアレーションをすれば 

海の魚もそこそこいけるのだな

ということがわかり

釣りの楽しみが増えそうな予感・・・

 

エサはたくさん増える

淡水のエビ(カワリヌマエビ属の1種)をあげていますが

このエビ 

海水にいれても 普通にしているです><

 

もともと海とゆかりのある生き物だけに

塩分耐性が高いようで これまた発見!

(狭い水槽なのでさすがにタイから逃れられず

海水の中でどのくらいもつかはわかりませんが・・・)

 

実際に見たり 

試してみると

意外な発見があるものだと

つくずく思う

今日この頃でした

ハギもいろいろ

先日、台風の風が強い中、

週末に行われる観察会の下見をしました。

 

初挑戦になる松代の象山です。

山頂までゆっくり歩いて30分。

遊歩道があるので歩きやすく、

山頂近くは平らで、ほどほどに手入れがされていて、

戸隠ではあまりみられない、乾燥した草地がすきな

草花が豊富です。

豆展にちなんでマメ科植物でいうと、

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イヌハギです。

(別にネコハギという小ぶりなハギがあるので、

 それより大きいから、イヌ だそうです)

草丈が低いこのハギが一面に生えていて、

犬たちに囲まれている気分です^^;

 

こちらはヒメハギ

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名前にハギがつきますが、マメの仲間ではありません。

まぎらわしいです。でもかわいいので好きな花です^^

 

まぎらわしいと言えば、豆展について紹介する記事で、

身近なマメ科植物の利用について書いているのですが、

 アカシア蜂蜜として売られている蜂蜜の蜜源になっている木はほぼ 

 マメ科 ニセアカシア(ハリエンジュ)で

 本来のマメ科 アカシア(黄色いミモザのような花)の蜜より

 ニセアカシアの蜜の方がおいしいと人気

とか

 床柱にも使われる槐(えんじゅ)という材は 

 マメ科 イヌエンジュ のもので

 エンジュという種名のマメ科の木が別にあり、

 市内の公園や街路樹としてもよく植栽されている ・・・

なんて、ややこしすぎ!

 

説明で文字数を使いすぎるので、いくつかネタをカット。

 

とりあえず、観察会は下見も無事すんだことですし、

本番の土曜日に雨に降られないことを祈るのみです。

 

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幹回り4メートル超えの巨樹 県天然記念物

象山カシワもコースの見どころです!

 

 

異常な暑さに

台風17号日本海に進み、温帯低気圧になりました。

 

夜から午前中にかけて強めの風が吹き荒れました。

 

収穫期を迎えた作物に被害がでないことを祈ります。

 

10時ぐらいからは異常な蒸し暑さになりました。

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長野市街地では気温が32度を超えたそうです。

 

博物館の百葉箱の中の温度計も30度越え… 暑いです。

 

暑さ寒さは彼岸まで…なんて言葉は死語になりつつあるのかも…

 

日本海に向けて南風が吹き込んだとはいえ、異常です。

 

 

 

 

そんな中、珍客がやってきました。

 

鼻の長い「ジネズミ」です。

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ネズミと呼ばれるものの、モグラの仲間です。

 

鋭い歯をもち、虫やクモなどを食べる仲間です。

細長い、とがった鼻先は、獲物を捕まえるためのセンサーなのだそうです。

 

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しっぽの長さを加えても、10㎝程度の小型哺乳類です。

豊かな自然が残る、戸隠ならではことのでしょう。

 

この現実を受け入れるしかありません!

お彼岸中心の、秋の三連休パート2!

 

多くのお客様でにぎわった戸隠です。

 

しかし、その背後には厳しい現実もありました。

 

昨日の夕方、帰り際に、カモシカに出会いました。

 

県道のど真ん中に、仁王立ち!

 

えっ!、、、、こちらを見て睨んでいます。

 

まだ若い個体でした。

 

急ブレーキを踏み、携帯を向けると、急いで去っていきました。

 

うれしいような、悲しいような…

 

 

 

その数日前には、キツネに遭遇!

 

柴犬館長との巡回中の出来事です。

 

そのキツネは咥えていた黒いものを落として、逃げていきました。

 

お互いにびっくりしたからでしょう!

 

落としたものが問題です。

 

それがコレ!

 

 

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ツキノワグマの前足です。

 

なぜ?????????

 

いろいろと妄想が広がりますが、ここは読者にお任せしたいです!

 

人口減少と、里山の荒廃が、その背景にあることは間違いないでしょう!

 

こんな瞬間を見たくはなかった、というのが本音です…

 

ツキノワグマは、本来は奥山に住む動物だったはずで、

 

キツネと出会うことはなかったと思います。

 

キツネがこのものを咥えて、この地にやってくるには、

 

大きな変化があったのではないか、と思っています。

 

この大きな変化は、人とのパワーバランスの変化を物語っていると考えます。

 

皆さんにも考えてもらいたい、と思い、

 

想像をめぐらせてほしい、と考えております。

 

なぜ、こんなものがここにあるのかは、語りたいことはありますが、

 

ここでは、事実のみをきするように、との柴犬館長の仰せです。

 

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ぜひ、こうした問題についての熟慮を望みます。

 

山奥の博物館からのレポートでした。