秋は実りの季節。さまざまな植物が実をつけ、中のタネを遠くへ飛ばそうとしています。親元から離れて新天地を目指してほしい親心ですね。ススキやガマは綿毛をつけて風に乗せ、ミズキやヤマボウシなどの赤い実は鳥へのアピールで、タネごと食べられて運ばれていきます。ミズナラやコナラのドングリはリスやネズミに運ばれ、食べ残された運のいいタネが翌年芽を出します。子孫を残そうと、植物たちはいろいろな工夫をこらしています。
博物館の近くの道路沿いに、1本のシナノキがあります。見上げると5個ほどの実のふさにそれぞれ翼が1枚ついていて、風に舞ってくるくる回転しながら落ちてきます。ゆっくり下りてくるうちに飛距離をかせごうという作戦のようです。
今度は足もとに目を向けると、地面をはうように伸びるスベリヒユに、5mmくらいの小さな実が付いていることに気付きました。畑の雑草としておなじみのこの草のタネまきのしかたがまた変わっていて、今日のように雨が降るのを待っているのです。
丸い実の上半分がふたをとるように、ぱかっとわれます。丸い茶わんの中に黒い小さなタネが入っているのですが、雨粒が茶わんの中に落ちると、その衝撃でタネが茶わんから飛び出しばらまかれるのです(「雨滴散布」と言います)。それほど遠くへはいかないでしょうが、ただ下へこぼすよりは効果的なようです。
(↑空になった茶わんもいっしょに写っています)
雨ですが、思わず「天晴れ!」