戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

シダも秋色に

今日も秋晴れですがすがしいお天気でした。紅葉も真っ盛りでいい日和とあっては建物の中にいるのがもったいないですね。紅葉狩りにお出かけのかたも多かったようです。
山の紅葉に加え、「草紅葉」と言われるように、草も黄色や赤や紫に色づくことがありますが、今日は博物館の土手で、シダ植物の紅葉をみつけました。

フユノハナワラビという種類で、夏前にいったん葉が枯れますが秋口にまた葉を出して、葉をつけたままで冬越しをするという変わった生活をおくるシダの仲間です。しかも、胞子を出す茎を葉とは別にのばすという、一般的なシダ植物とは一風変わった姿が、まるで花を咲かせているようなので、「花蕨(ハナワラビ)」という名前がつけられています。
緑が少なくなる晩秋に花が咲いたようなので、鉢植で育てたりするかたもいらっしゃいます。
その葉が、サクラの落ち葉と同じように赤味を帯びているのには驚かされました。胞子を出す茎の下に、赤い葉が1枚づつついているのがわかりますか? しかも葉の裏は緑色のままですし、全く色づいていない葉もありました。このまま冬越ししてしまうのですから、木の紅葉とは違うしくみが働いているようです。図鑑によると、春にはまた緑色に戻るというのですから、また驚きです。

長い冬を前に、来年の春を待つ楽しみがまた1つ増えました。