これは“ほうき”ではありません。
クジラのヒゲの一部です。ある小学校から寄贈していただきました。
ヒゲと言っても私たちのヒゲとは全然違います。
これが上あごにびっしりと生えていて、海水からエサだけを濾(こ)して食べるのです。
このヒゲ、私たちの毛やツメと同じケラチンという物質でできていて、絶えず伸び続けるのだそうです。もじゃもじゃのヒゲの部分がすり切れると、板みたいな根元の部分がのびて、ささくれてヒゲになるようです。
とても良い資料なのですが、虫さんにとっても良い飼料(エサ)だったようです。食い荒らした正体は、カツオブシムシの仲間のようで、掃除をしたらフンと脱け殻がたくさん出てきました。生き残りがいるとは思えませんでしたが、カツオブシムシは博物館資料の天敵でもあるので、念入りに消毒しました(骨格標本作りには多大な貢献をしてくれるのですが、手当たり次第食べてしまうのが玉に瑕です)。
カツオブシムシの脱け殻