クズと言う植物をご存知ですか?
3枚ずつ葉を出すつる植物で、長く伸びて木やフェンスなどに巻きつく、厄介ものです。
この時期、道路の法面のあちこちで赤紫色の花を咲かせていますが、葉が大きいので花はあまり目立ちません。
しかし、じつはクズはハギやキキョウ、オミナエシ、ナデシコなどと並んで「秋の七草」の一つです。
他の花はわりと可憐な感じがして、いかにも秋の草原の風情に合うのですが、クズもその仲間、というのは何となく合点がいきません。
秋の七草は奈良時代の歌人、山上憶良がとりあげた植物なのですが、平安時代の人にとってクズに何か特別な意味があったのでしょうか。
花の赤紫色だけみると、確かに昔の人が好む高貴な色のような感じがします。花が道端に落ちてじゅうたんのように敷き詰められていると、なかなかきれいなものだなと思います。
また、クズの太くなった根からくず粉をとることができます。その産地として、吉野の「国栖(くず)」地方が有名で、朝廷に献上されていたようです。
現在の視点だけでなく、当時の人々の嗜好や生活ぶりを交えて想像すると、何かヒントがありそうですね。