戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

こんなところにも…

今回の神城断層地震では、こんなところにも被害が出ています。

市街地の裏山、郷路山です。



以前からここには崖がありました。

市内の方から、「あそこは山崩れではないか、大丈夫か」との

問い合わせがあった崖でした。


私も長野に住み始めた学生のころ、

「地すべりの崖が市街地のすぐ裏にあって、こりゃあぶないなぁ」と思っていました。

駆け出しの地質屋だったころです。


しかし、いろいろな方から、あそこは石切り場の跡なんだよ、と教わりました。

「ヘェー、人のつくった崖なんだ! 人間ってすごいなぁ、

目からウロコの話だなぁ」と思ったことを覚えています。(^-^)/



江戸時代、あそこから石を切り出し、善光寺門前の石畳にしたことも知りました。

だから、新諏訪町には通り沿いに石屋さんが多かったのだ、とも聞きました。

人は、きちんと自然を見て、活用したのでしょう。

ここの郷路石は、善光寺の石灯籠や所々の古い石垣やでみることができます。

角閃石の目立つ灰色の安山岩で、比較的軟らかい石質で、

切り出しやその後の加工がしやすかったのだと思います。




今回の地震では崖の上部が崩れ、石が落ちかかった状態となっています。

2次災害に気をつける必要があります