戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

ナゾの突起

スーパー小学生ボランティアさんより質問をいだきました^^


「ウトウの突起は繁殖期が終わるとどうなるの?」



ウトウは主に北日本で繁殖する海鳥の仲間。


(「フィールドガイド 日本の野鳥」より)



骨格標本にも、突起が残っています。


質問にあるように、オス・メスの両方に、繁殖期にだけ出ます。



ウトウは「北半球のペンギン」と呼ばれるウミガラスに近い仲間で
潜水が得意。
繁殖期にはたくさんの小魚を巣のヒナに運んできます。


しかもペンギンと違って飛行能力にも優れています!
北海道の天売(てうり)島の海沿いの崖にはウトウの一大繁殖地があって、
60万羽ほどのエサをくわえたウトウが、巣穴に飛んで戻ってくる姿が見られるとか。


しかも毎日、エサを探しに往復100キロも飛んでいるらしい・・・
地味ながら、なかなかできるヤツです^^



さて、本題のくちばしの付け根の突起
何でできているのか、はっきりした答えは見つけられませんでした。


ただ、くちばしの付け根が膨らんでいるハトの仲間や猛禽類では、
「鼻こぶ」と呼ばれていて、肉質(主に脂肪の塊)だそうです。


おそらくウトウの突起も肉質で、繁殖期に伸びてきて、
時期が過ぎると引っ込んでいくのでは、と想像しました。



さらに、なぜ繁殖期にだけ伸びるのか?という疑問も残ります。
オス・メス両方が伸びるので、
繁殖相手を選ぶためのディスプレーではありません。


「巣穴を掘るときに使う」との案もありましたが、
私が調べた中で、一番面白いと思ったのは・・・


「飛行を安定させるための垂直尾翼の役割」


というもの。


くちばしにたくさんの小魚をくわえて海上を飛んでくるので、
飛行のバランスをとるための突起だというわけです。


翼竜プテラノドンの頭の大きなとさかにも、かじとりの役割があるとか…)


私では小学生の質問にここまでしか答えられません><;


どなたか、ご存知のこと、他のアイディアなどがありましたら
ぜひお知らせくださいませm(__)m