戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

物見岩で考える「これまで」と「これから」

天気が思った以上に良かったので、「物見の岩」に登りました。

善光寺の裏山である「大峰山」の中腹にある岩です。

川中島合戦の際、上杉謙信の軍勢が善光寺に陣取り、

この岩に物見をおいた、という話が伝わる場所です。


長野盆地が一望できます。

ちょっと霞がかかっていたのが残念!(・_・;)


下をみると怖いですが、とても気持ちの良い場所でした。


長野盆地の西縁に露出する裾花凝灰岩層の中でも、

一番硬い部分が、こうして露出しているのです。


約700万年前の海底火山の噴出物で、白っぽい色をしています。

シリカ成分(2酸化ケイ素:SiO2)の多いためです。

どうしてここだけ硬い部分となっているのかは謎です。

熱水変質を受けているのかもしれません。



この一帯が急な崖になっているのは、長野盆地西縁断層の動きのせいです。

硬い裾花凝灰岩層の部分は隆起している部分で山になりました。

その中でも、一番硬い部分が「物見の岩」です。


最近は、岩登りの方がよく利用されているとのこと…

こうした大地の生い立ちとの関連も見てほしいなぁと思います。


岩の麓の部分には洞窟があり、「岩井観音」と呼ばれています。

平安時代の僧「空海弘法大師)」も修行の場所だとか…

この岩があって、大地の動きや人との営みをうかがうことができます。

そんな物語性のある場所、機会があればぜひお立ち寄りを…