戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

香りよりも

ここ何年か、問い合わせをもらうことがある木


センダン(栴檀


西日本など暖地では、公園や庭先など人里に普通にはえているのですが、
長野ではめったに見ない木です。


それが、長野市立博物館(通称本館)の裏手、
一般の来館者はめったに行かない場所に、1本だけ植えられている、
ということで、時々話題になるのです。


現在、薄紫色の涼し気な花が咲いています。


秋になると、葉が落ちた後でも銀杏のような実がついていて、
目立ちます。

(山渓ハンディ図鑑「樹に咲く花2」より)


これが冬前に西日本の郊外にでかけると、やたらに目につきます^^;



「センダン」と聞くと
栴檀は双葉より芳(かんば)し」
ということわざを思い浮かべるかたもいらっしゃるのでは。


栴檀は発芽したころから芳香を放っているので、
優れた人物は、幼いときから他と違って優れている
という意味です。


じつはことわざのセンダンは、
東南アジア原産の香木、白檀(ビャクダン)のことです。

それこそ日本で生で見ることはめったにない、珍しい木。
紛らわしいです。


ちなみに、本来のセンダンは花はそれなりにいい香りはしますが、
残念ながら、ことわざになるほど双葉からは香りません・・・


この珍しい木をご覧になりたい場合は、長野市立博物館へ訪ねてください。
今年は職員の皆さんに、浸透したはずです。