戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

何事も急はよくない…

この数日、2月とは思えない陽気になっています。

この戸隠でも暖かい…

福寿草も咲きだし、雪がどんどん融けていきます。

24日の日曜日の段階で、鬼無里の雪もこんなに融けていました。

f:id:Naturalhistory:20190225144407j:plain

 

【融ける前の雪の画像は2月11日の、このブログでご確認ください】

 

こんなに急に雪が融けていくのは、よいことでもありますが、

不安にもなります。

 

この不安がちょっと的中!

 

融雪期地滑りと思われるものが、近くで発生しました。

館の北にいった、荒倉山のふもとです。

昨日のテレビニュースで発生を知りました。

 

今日、昼休みに復旧作業の邪魔にならないように、行ってみました。

 

一昨年の大雨で滑っていた地滑りの上部が拡大して崩れたようです。

民家へいく道も崩落したので、孤立化してしまいました。

上下水道も切断され、電柱が崩れるなど被害がさらに拡大…

f:id:Naturalhistory:20190227132556j:plain

復旧工事も、ようやくめどがついてきたところなのに…

 

一気に雪が融け、土中の水分が増え、不安定な状況になりました。

いわゆる地盤が緩んだ状態になり、

土砂の重さで崩落という事態になったと思われます。

 

この時期、多雪地域ではこうした地滑りが多発します。

特に、第三紀の海底に堆積した砂岩・泥岩層の部分です。

周囲にも、そうした小規模な崩落がいくつもありました。

 

今回の場所も、

1847年の善光寺地震の際にも土石流が発生した場所です。

1995年7月の集中豪雨災害時にも土石流が発生し、

2014年11月の長野県北部で発生した地震(いわゆる神城断層地震)でも

墓石や家屋などで被害が目立った地域でもありました。

f:id:Naturalhistory:20190227131231j:plain

 

今回の地滑りも、震度6弱地震の後遺症と考えられます。

 

今後も、要注意の場所です。

一刻も早い復旧を望みますが、地盤(地質)がもろく、

やっかいな場所でもあります。

 

どうしたらよいのでしょうか? 悩みの多いところです。

 

何事も、「急激」というのはよくありません。

暖かくなるにしても、徐々に、穏やかに、なってほしいものです。