戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

耳の骨のなぞ

先週末、千葉から来られたお客様のお目当ては

クジラの耳の骨。

千葉の海岸で収集されているイルカの耳の骨との

比較をしたいとのことでした。

 

あいにく詳しい職員が不在で、

私が知っているクジラの耳骨(じこつ)についての知識は、

あごの骨を介した骨伝導で伝わる音を増幅させるために

とても固く、化石に残りやすいということだけ。

展示している耳骨やその化石を見てもらったのですが、

お客様がよく見ている耳骨とは形がずいぶん違うとのことでした。

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 (戸隠産ナガスクジラ類の耳骨)

 

そんなことをあれこれ話しているうちに、

お持ちのイルカの耳骨レプリカを、わけていただいてしまいました!

 

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貴重なものをありがとうございますm(__)m

じつはこの骨、その形を福袋をもった布袋様に見立てて、

「布袋石」と呼ばれ、昔から縁起物として収集家が多いそうです。

 

 

知らなかった><!

 

今日、ようやく多忙な職員をつかまえて、

鯨類(クジラ・イルカ)の耳骨について勉強しました^^

 

展示はしていない、スナメリ(イルカの仲間)の耳骨を出してもらいました。

 

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じつは鯨類の耳骨は、片耳ずつ2つのパーツからできていて、

右側が岩骨(耳周骨)で、今回いただいた「布袋石」なのですが、

もう一つ、鼓室骨(鼓骨)という骨とセットになっていたのです。

 

 

玄関のミンククジラの骨で、クジラについて実際に確認です。

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首に近い、この部分に耳の骨があります。

 

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丸い出っ張りが鼓室骨。

特にヒゲクジラの仲間は丸い形をしているそうです。

もう片方の耳の鼓室骨はすでに外してあるので、

のぞきこむと、中の岩骨の存在がわかりました。

 

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丸い鼓室骨のほうが、外側にあってとれやすいので、

クジラ化石ではこちらのほうが、よく見つかるようなのです。

 

 

ようやく謎がとけました!

千葉から来館されたお客様にもお伝えしたい!

とりあえず、まずはブログでご報告です^^;